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私の英語勉強法|3つの鉄則

2018.09.07 渡辺 寧

大人の外国語習得は大変

大人になってからの外国語習得というのは本当に大変ですね。

多くの場合は英語でしょうか。海外赴任前の異文化理解研修をしていると、英語力に不安の有る状態で赴任地に赴かなければならない方も多くお見かけします。日本人は義務教育でかなり長い年数英語を勉強しているにも関わらず、仕事環境で効果的に英語でコミュニケーションできる方の数は限られて居るように思います。

外国語を学習すること異文化対応を学習することは異なる学習です。HIJ(ホフステード・インサイツ・ジャパン)は後者の専門機関であって、外国語を教える機関ではありません。

とは言え、国境をまたいで仕事をする場合は、外国語を使う必要が多いのも事実で、HIJのファシリテータは全員少なくとも2カ国語以上での言語コミュニケーションを行います。

私も色々な日本企業で異文化理解ワークショップを行い、時として英語でのワークショップデリバリーをすることがあるのですが、その際に日本人の参加者から英語の勉強法について聞かれることがあります。

ちなみに、私は典型的な「純ジャパ」です。日本で生まれ、英語は学校で習っただけで、大学に入るまで外国語を話す人は近しい周囲には1人も居らず、大学を卒業するまで海外に出たことがありませんでした。その為、英語習得では様々な試行錯誤をせざるを得ず、色々な学習法を試し、自分にあった学び方を作り、仕事で必要な英語力をなんとか身に着けて現在に至ります。

私も含め、HIJのファシリテーターは外国語を教える専門家ではないのですが、それぞれ色々なやり方で外国語を勉強してきた実践家ではあるので、今回は英語勉強法について常々考えている私の3つの鉄則について書いてみたいと思います。

鉄則①「腹をくくる」

勉強法と言いつつ、いきなり精神論 (笑) ですが、本当に英語を習得したいのであれば、腹をくくって大量の勉強時間を投下する必要があると思います。世の中には「聴き流すだけで出来るようになる」とか「1日5分の勉強時間で大丈夫」といった英語教材の宣伝文句が溢れていますが、私はその手のものは全部ウソだと思っています。大人が言語を学ぶ際に、楽が出来て少ない時間投下で済むことなどあり得ない。

そこはもう、腹をくくる
ハードワークする、と決める。

2015年にラグビー日本代表を南アフリカ勝利へと導いたエディー・ジョーンズは、「ハードワーク」という著書の中で、「ハードワーク」とは、日本語で言う「頑張る」とは少し意味が違うと言っています。「ハードワーク」とは100パーセントの努力を傾けることと、それに加えて「今よりよくなろう」という意識を持つことだ、と言っています。

そして、いくら頑張っても結果が出ない人は、間違いなく、「今よりよくなろう」という意識が欠けていると言い切っています。

エディー・ジョーンズの言葉にはオーストラリア文化が色濃く反映されていますが、日本の文化特性を考慮しても、彼が言うハードワークの意識の持ち方は参考になると思います。この考えは日本人に合っている。

勉強法で言うと、私は通訳者養成の勉強方法が最も効果的だと感ます。シャドーイング、リプロダクション、サイトトランスレーション、と言った語学訓練方法は脳に多大な負荷をかけます。

社会人になってから、週に1回、自腹で会議通訳者学校の授業に行っていたのですが、日→英で90分、英→日で90分、合計180分の授業が終わるころにはヘトヘト。非常に大変でしたが、この練習は実践的な語学力強化に非常に有効と感じます。本当に「今よりも英語が出来るようになろう」と思うのならば、このレベルの負荷をかけるべき。

負荷をかけることで、脳の機能を変化させていく感じでしょうか。筋トレと一緒で、「今より良くなろう」という気持ちで、意識的に狙った筋機能に強い負荷をかけて休む。これを繰り返すことが、結局は、最短で言語習得に繋がるのではないかと思います。

鉄則②「英語の参考書・問題集は買わない」

世の中には英語の参考書・問題集が山のように売っていますが、私はそうした参考書・問題集の使用は最小限にした方が良いと思っています。ただし、TOEICなどのテスト用のものは除きます。テスト対策には逆に参考書・問題集を積極的に使うべきだと思います。あくまで一般的な英語力を鍛えるための参考書・問題集の話です。

なぜかというと、そこで出てくる英文は、読んでる自分にとって関係の無い内容だからです。人間誰しも、自分と関係が強かったり、興味があるものはよく覚えます。語学の勉強では多くの事を記憶しないとならないわけですが、誰かが教科書に書いた、自分から遠いコンテクストの内容で、何かを覚えるのは非常に大変。

だから、教材は自分で作る位の意識でいた方が良いと思います。もっと言うと、世の中の英語を話す人の中で「この人の言葉の使い方や話の内容が好きだ」という人を見つけて、その人の言語能力をそっくりそのまま自分の脳にコピーすることを目指すのが一番良い。

言語学習とは、突き詰めれば「人マネ」の事なのだから、マネする対象はコンテクストが自分から遠い参考書・問題集ではなく、リアルな人である方が望ましいと思います。

鉄則③「テクノロジーの力を使う」

上記で、リアルな人のコピーをするのが言語学習のコツと言いました。英語学習の実際においては、このコピーは「完コピ」のレベルで行います。シャドーイングやリプロダクションをするのであれば、100%正しいシャドーイングやリプロダクションが出来るようになるまで、繰り返し、繰り返し練習します。「なんとなくわかった」で終わらせない。そういう状態の自分を許さない。腹をくくったのだから、徹底的にやります。

その時に役に立つのがテクノロジーです。

英語学習という意味においては、本当にいい時代になったと思います。ネットを中心に様々な新しいITサービスが今はあって、効率的に英語学習を進められる環境があります。Skypeでの英会話レッスンなど、新しいサービスは色々ありますが、1つお勧め出来るのがNetflix膨大なジャンルの膨大なビデオを、字幕(英語・日本語)付きで見ることができます。これは本当に素晴らしい。

ジャンルも量も膨大なので、その中から自分の仕事に関連するものや興味があるものを探します。要は自分に合った教材を探すということです。個人的には「この人(達)の話し方好きだな」と思う人の動画を選ぶのが良いと思います。そして、選んだら、そこで話されているセリフを「完コピ」します。つまり、すべてのセリフを聞き取り、理解し、自分の口で言うことが出来るようにするのです。

この時に役立つのがNetflixの英語字幕機能とアルクの「英辞郎 on the web Pro」。

 

そして、英語学習に使う時のNetflixの視聴は、PCで行うのが良いです。私はPCの画面の左右表示でNetflixと英辞郎を表示させています。

それから、地味な話ですが、結構大事なことで、キーボードのショートカットを多用します。動画を見ていて、聞き取れない所があったら「←(左矢印)」を押します。1回押すと10秒戻ります。2回押すと20秒。戻って「Spaceキー」を押して再生し、それからまた「Spaceキー」を押して一時停止させて字幕を確認します。英語字幕を確認すれば、どうして自分が聴き取れなかったのかがわかります。そもそもボキャブラリーを知らなかったのか、発音やアクセントが聴き取れなかったのか。ボキャブラリーの問題であれば「Alt+Tab」で画面を英辞郎に変えて意味を調べます。発音やアクセントの問題であれば聞けるようになるまで、何度も何度も「」と「Space」を押して戻る・再生を繰り返し、耳を適応させます。

英辞郎のPro版は情報量が非常に多いので、大抵のボキャブラリーは載っています。また、調べた単語は記憶したいのですが、単語帳のメモ機能が非常に便利。メモにはそのシーンの文脈を書いておきます。例えば、下の写真は”astringency(渋み)”という単語のメモですが、メキシコで現地の人に「若いパイナップルは塩水に数分つけると酸味と渋みが消えるよ」と言われていたシーンだったな、ということをメモで書いてセリフも記述しています。

キーボードのショートカットを使うと、超高速でシーンの見直しと辞書での意味確認、メモ記述が出来ます。記憶するためには繰り返し繰り返し見ることが必要です。昔はテープレコーダーの巻き戻しと紙の辞書とノートでやっていたことを考えると、本当に効率的になったものだと思います。

地道な反復練習が結局は近道

今も昔も学習方法は変わらないのですが、それを支援する道具の進化は著しいものがあります。これを使わない手はありません。とにかく、徹底的に100%理解できるようになることを目指すわけなのですが、最近のテクノロジーを使うと、無駄な労力が削ぎ落された形でその練習を行うことができます。

100%理解できている、100%再生産できるということは本当に気持ちの良いものです。私はあまりたしなみませんが、カラオケの練習なんかもそういう感じなんじゃないかと思います。

そこまでやり切ったら次の素材に進んでいく。それを地道に続けることが結局は英語習得の近道なんだと私は思っています。

語学と同時に異文化対応力を学ぶ

今回は異文化理解の話から外れて私の個人的な英語学習法について書いてきました。勉強の仕方は人それぞれで、向き不向きがあると思います。今回書いてきたのはあくまで私の持論でしかありませんが、参考になるところがあれば幸いです。

それから、最初の話に戻りますが、言語が喋れることとは、必ずしも異文化環境で効果的に仕事ができるということを意味しません。道具としての言語を習得し、加えて異文化環境での効果的な仕事の進め方を学んでいくことが必要です。HIJはこの異文化環境での効果的な仕事の進め方についてホフステードモデルを軸に様々なサービスを展開しています。ご興味のある方はぜひ、サービスページをご覧ください。


WRITER

渡辺 寧

Hofstede Insights Japan 取締役
シニアファシリテーター

慶応義塾大学文学部/政策・メディア研究科卒業後、ソニー株式会社に入社。7年に渡り国内/海外マーケティングに従事。約3年の英国赴任を経てボストン・コンサルティング・グループに入社。メーカー、公共サービス、金融など、幅広い業界のプロジェクトに4年間従事。2014年に独立。プライベートではアシュタンガヨガに取り組み、ヨガインストラクターでもある。

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