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AIにエンジニア探しを頼んだら見えてきた、働き方の未来の話 – 歩きながら考える vol.59

今日のテーマは、AIがプロジェクト・マネジメント・オフィス(PMO)の役割を果たす未来がもう来ているという話について。このシリーズでは、筆者が街を歩きながら、日々の気付きや研究テーマについてのアイデアを語っていきます。ふとしたタイミングで浮かんだアイデアや、知的好奇心をくすぐる話題をラジオ感覚で平日(月~金)毎日お届けしています。
こんにちは。今日は東京出張の帰りなんですけど、ホテルでくつろぎながら、最近体験したちょっと衝撃的な話をシェアしようと思います。AIを使ってエンジニアを探してみたら、なんか想像以上に未来っぽい展開になって、「あれ、これって働き方が根本的に変わるんじゃない?」って思ったんです。今回はその体験談と、そこから見えてきた未来の話を、ゆるく話してみようと思います。
ランサーズでエンジニアを探してたら、AIに丸投げしちゃった話
まず最初に、きっかけの話から。
最近、AIを使った研究用の実験サイトを作りたくて、ランサーズでエンジニアさんを探してたんですよ。でも、僕自身エンジニアじゃないから、フロントエンドとかバックエンドとか言われても、正直どういうスキルが必要なのかピンとこない。とりあえず、作りたいものに近いポートフォリオを持ってる人を何人かピックアップしてみたんです。
で、プロフィールを眺めてて思ったんですけど、「あれ、これAIに聞いてみたらどうなるんだろう?」って。
そこで試しに、ランサーズのプロフィールページのURLをAIに貼って、「こういうサイトを作りたいんだけど、この中で誰が一番適してると思う?」って自然言語で相談してみたんです。要件も普通の言葉で説明して。
そしたら、AIが各プロフィールを自動で読み込んで、「この人とこの人はスキル的にマッチしてますね」「予算を考慮するとこの人が現実的かも」みたいな、めちゃくちゃ的確なアドバイスを返してきたんですよ。正直、技術の知識のある人間の人材コンサルタントに相談してるみたいで、かなり助かりました。
AIがプロジェクト全体を仕切る未来が、もうそこまで来てる?
で、ここからが本題なんですけど、この体験をしてて思ったのが、「あれ、これって僕がランサーズで探す必要すらないんじゃない?」ってこと。
考えてみてください。AIが日本のクラウドソーシングサイトだけじゃなくて、海外のサイトも含めて全部検索して、「北米のこの人が初期開発して、その後インドのチームに引き継ぐのがコスト的にベスト」みたいな提案をしてくる未来って、技術的にはもう可能なわけです。
さらに言えば、プロジェクトが始まった後の進捗管理とかも、AIがやってくれそうじゃないですか。「アメリカチームが今日ここまで終わらせたから、インドチームは明日ここから始めてください」みたいな調整を、時差を考慮しながら自動でやってくれる。
これって、まさにPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の仕事ですよね。組織内のプロジェクトを横断的に支援する機能のことなんですけど、その業務の一部をAIが担えるようになってきてる。
実際、2025年はAIスカウト元年って呼ばれてて、いろんな企業がAIを使った人材マッチングサービスを始めてるみたいです。大手企業でもAIを使った採用支援が本格化してきてるし、この流れはもう止まらないんじゃないかなって感じます。
個人の発信が超重要になる時代
ここで面白いのが、こういうAI時代になると、個人の働き方も変わってくるってことなんです。
AIがグローバルに人材を探すようになったら、言語の壁なんて関係なくなるじゃないですか。日本語でしか発信してなくても、AIが勝手に翻訳して、世界中のプロジェクトとマッチングしてくれる。
だから、自分のスキルとか実績を、閉じたSNSじゃなくて、オープンな場所で発信しておくことがめちゃくちゃ重要になる。「こういう仕事しました」「こんなスキルあります」って情報を公開してる人と、してない人で、チャンスの差がどんどん開いていくんじゃないでしょうか。
で、ここでオランダの経営学者・社会心理学者であるヘールト・ホフステードの文化次元理論の話をちょっとしたいんですけど、この理論って国の文化を6つの軸で分析するんです。その中の「権力格差」と「個人主義」っていう軸が、AI時代の働き方を考える上では関係してくるかな、と思ってます。
AIがプロジェクトを管理する世界って、「超個人主義」で「低権力格差」な社会になると思います。だって、AIから見たら関係あるのは個人としての力量だけ。「この人はこの役割」って、純粋にスキルと役割だけで判断される。上司も部下もなくて、みんなフラットにプロジェクトメンバーとして扱われる。
日本って、ホフステードのスコアだと権力格差は中くらいで、個人主義もアジアの中では高いけど世界的には集団主義寄り。人間関係で仕事が上手く進むか進まないかが決まってくる要素が大きい。でも、AI時代の働き方は、この日本の文化とは違う方向に進んでる気がします。
まとめ:AIと一緒に働く未来に向けて
というわけで、今日はランサーズでのエンジニア探しから始まって、AI時代の働き方まで、部屋の中をぶらぶら歩きながら考えてみました。
AIがPMOの仕事の一部を担うようになって、個人は自分のスキルをオープンに発信する必要があって、組織はどんどんフラットになっていく。なんか、今とは大分違う未来が来そうじゃないですか?
でも同時に、最後の細かい調整とか、人間同士の信頼関係作りとか、AIには難しい部分もまだまだあると思うんです。だから、AIと人間がうまく協働していく方法を、みんなで考えていく必要があるんじゃないかと思っています。
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最後まで読んでくださり、ありがとうございます。また次回の「歩きながら考える」でお会いしましょう!

渡邉 寧
博士(人間・環境学)
代表取締役
シニアファシリテーター
慶応義塾大学文学部/政策・メディア研究科卒業後、ソニー株式会社に入社。7年に渡り国内/海外マーケティングに従事。約3年の英国赴任を経てボストン・コンサルティング・グループに入社。メーカー、公共サービス、金融など、幅広い業界のプロジェクトに4年間従事。2014年に独立。2025年に京都大学大学院人間・環境学研究科にて博士号取得。専門は文化心理学、組織行動。最近の研究テーマはAIの社会実装 × 職場の幸福感 × 文化の違い