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グローバル人材と文化 (4) 価値観

2014.01.17 加藤真佐子/宮森千嘉子

こんにちは!

異文化経営/組織文化の専門家集団、
itimインターナショナルが運営する
「グローバル人材研究所」のサイトへようこそ!

itimの加藤真佐子と宮森千嘉子です。

前回のブログで、
文化を構成する要素の表層にある
シンボル、ヒーロー、儀礼は
人々の目に見えるものだというご紹介しました。

これらの目に見えるものに
「文化的意味」を与えているのが、
文化のもっとも中枢に位置する
「価値観」です。

価値観とは、
相反する状態のどちらかを
好ましいと思う傾向のことです。

つまり、
「きれい⇔きたない」
「良い⇔悪い」
「合理的⇔非合理的」
などを判断する基準が、「価値観」です。

価値観は、
私たちがこの世に生まれた時点で
真っ先に学ぶことのひとつです。

その後、学校や地域社会など、
接触する人が増えるたびに
価値観がプログラミングされ、
強化されていきます。

たいていの子供は
10歳までには基本的な価値観を
身につけるといいます。

人生の極めて早い時期に形成されるので、
私たちはそれと意識しないままに、
価値観を内面化しています。
つまり外からは見えないのです。

ですから、他の文化圏の人の
目に触れることもないし
観察の対象とされることも
極めて少ないのです。

そして、価値観は、一度身に着けると、
その後で変更を加えることは
難しいといわれています。

価値観は、深い感情と結びついています。

グローバル人材が、
外国人と働く時、
海外で働く時に
遭遇するチャレンジのほとんどは、
価値観の違いによってもたらされます。

いってみれば、
氷山の下に隠れているのが、「価値観」。

氷山

目に見える氷山の形だけで
判断して航海すると
大きなリスクがあるように

グローバルビジネスの現場では
観察できる表層の文化の違いにとらわれて
その本当の意味を知らないと、
取り返しのつかない結果をもたらすことも
少なくありません。

しかし、価値観は目に見えません。
また、私たちは自分たちが
どんな価値観を持っているのか、
自分たちも知らないうちに行動しています

つまり、自分たちが行動する理由を
異なる文化の人たちに
説得力をもって説明することは
難しいのです。

ホフステードはこの価値観を
各国別に数値化したモデルを
開発しました。

ホフステードのモデルが
文化の多様性を理解する
枠組みであるゆえんです。

ここからは、少し複雑になりますが
モデルが生まれた背景をご説明します。

ホフステードは、
「すべての人間は
共通の問題を抱えているが
その解決方法は
社会によって異なっている」
という文化人類学的考え方に基づき、

次の領域に関する
各国の解決方法の
違いを抽出しました。

  1. 社会的不平等
  2. 個人と集団の関係
  3. 男女の社会的役割
  4. 人生の不確実性

調査の対象となったのは、
50カ国、11万6千人。
回答者は、IBMの社員です。

IBMの社員は、国籍が違うという点を除くと
いろいろな点で似ています。
だからこそ、ここで得られた回答には
国民文化の違いが鮮明に表れてきました。

彼は、この4つの問題領域を
文化を分析する次元と定義し、
国別の問題解決の方法の調査結果である
数量データを因数分解し
スコア化しました。

つまり、4つの問題領域において、
それぞれ、各国のスコアを
0から100で示したのです。

世界で初めて、国別の文化の違いを
実証的、定量的、体系的に
示したのです。

最初の研究から30年たっても、
最も論文引用件数の多い学者のひとりであり、
30年間、継続して研究を続けており
新しい成果を生み出しています。

ホフステードが、文化とマネジメントの
研究のパイオニアであり
そのモデルが異文化理解の金字塔と
といわれる由縁です。

私たちitimインターナショナルは
このモデルを、
グローバル人材のあなたの
グローバルビジネスの現場で
活用していただくために、存在します。

次回のブログでは、
文化の違いを示す次元について
書きたいと思います。

ぜひ、読んでくださいね!


加藤真佐子/宮森千嘉子

- 加藤 真佐子 プロフィール -ファシリテーター在蘭日系企業で16年間人事業務に従事し、人事、マネージメントの前提、当たり前が各国で異なること、また企業の成長、市場の変化などにより、それまで機能していた組織文化が組織の足かせになり得ることを体験。同企業でホフステード・インサイツの異文化及び組織文化マネージメントアプローチをクライアントとして体験したことをきっかけに、独立してホフステード・インサイツに参加。異文化、組織文化ファシリテータ、コーチとして多様な文化的背景を持つ人々がより良き協働関係、組織文化を構築することを支援している。幼少期および学生時代の一部を米国で過ごし、現在オランダ在住。上智大学修士課程国際関係論終了。国際コーチング連盟認定コーチ。- 宮森 千嘉子 プロフィール -ファウンダーサントリー広報部勤務後、HP、GEの日本法人でコミュニケーションとパブリック・アフェアーズを統括、組織文化の持つビジネスへのインパクトを熟知する。また50 カ国を超える国籍のメンバーとプロジェクトを推進する中で、多様性のあるチームの持つポテンシャルと難しさを痛感。「組織と文化」を生涯のテーマとし、企業、教育機関の支援に取り組んでいる。米国イリノイ州シカゴ市在住。異文化適応力診断(IRC) , CQ(Cultural Intelligence) , GCI (Global Competencies Inventory), 及びImmunity to Change (ITC) 認定ファシリテータ、MPF社認定グローバル教育教材<文化の世界地図>(TM)インストラクター、地球村認定講師、デール・カーネギートレーナーコース終了。共著に「個を活かすダイバーシティ戦略」。青山学院大学文学部フランス文学科、英国 アシュリッシビジネススクール(MBA)卒。

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