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ホフステードの5次元モデル(4)不確実性の回避と変革、イノベーション

2014.01.28 加藤真佐子/宮森千嘉子

異文化経営/組織文化の専門家集団、
itimインターナショナルが運営する
「グローバル人材研究所」のサイトへようこそ!

itimの加藤真佐子と宮森千嘉子です。

前回のブログでは、
グローバル人材が
グローバルでビジネスを展開するときに重要となる
「不確実性の回避」について説明しました。

今日は、「不確実性の回避」が
ビジネスにどのような影響をもたらすのか
考えていきたいと思います。

あなたが外国人と働くとき、または
海外で働くとき。

「なぜ、確認もせずにいい加減に
仕事を先に進めるんだよ」
といらだったり

「前例がないのに、そんなこと
はじめて大丈夫なのか」
と不安になったことはありませんか?

私たちの国、日本は
世界でも有数の
「不確実性回避の高い文化」です。

リスクの計算、
失敗したときのバックアッププランなど、
ありとあらゆるシナリオを検証した上でないと、
意思決定せず、最初の一歩を踏み出しません。

失業するリスクの少ない大企業に入り、
安定したキャリアを歩む事が
社会的に期待される
ロールモデルであるという概念から
いまだに抜け出せない人がたくさんいます。

女性や外国人の役員のいる企業が
いまだに少ないのも
無意識のうちに
身内だけで固めるほうが安心だと
考えてしまうのではないでしょうか?

一方、不確実性の回避度が低い
アングロサクソンの諸国や
北欧でのヒーローは

起業家精神にあふれ
何回失敗しても立ち上がる人たちです。

アップルのステイーブ・ジョッブスや
バージンのリチャード・ブランソンが
「失敗が心配だからやらない」と
考えることなど、ありえません。

未知のリスクを取る事に抵抗のない文化では、
ビジネスチャンスを見つけたら、まずやってみて
リスクに遭遇しても、
走りながら解決すればいいと考えるでしょう。

また、国籍は問わず
それぞれの分野で強みを持つ
優れた人材でチームを形成することも得意です。

不確実回避度の違うメンバーから成る
グローバルプロジェクトチームや
新規事業開発チームなどで、
この差からくるストレス、
いらだち、コンフリクトが
ピークに達します。

「不確実性を回避するか、否か」は、
イノベーションや変革にも直結します。

不確実性回避度の低い文化では、
異質なもの、馴染みのないものは
面白いと受け止められるので、
突拍子もないアイディアから始まる
イノベーションが容易です。

また、不確実性、未知の要素を含む「変化」に
抵抗が少ないので、
会社の変革も比較的容易です。

それに対して不確実性を回避したい文化では、
異質なものは危険なものと捉えられ、
イノベーションや変革は大きな困難を伴います。

この次元は
日本のグローバル化を考える上で
大変重要です。

日本は世界でも有数の
不確実性回避度の高い文化であると
申し上げました。

グローバル/異文化環境とは
未知の文化を共有する
不確実性の高い環境です。

そして、変革が当たり前の環境でもあり
自らを成長させ、変えていかなければ
グローバル環境で結果を出すことは
できないのです。

しかし、日本は社会レベルで、
未知のグローバル/異文化環境に
どんどん出て行って、
異質なモノや考え方をおもしろい、と捉え、
失敗を次の成功への学習の機会と捉える
教育が提供されてきていませんでした。

残念ながら日本は
多様性を取り入れ、建設的批判の中から
イノベーションを生む文化を持たないのです。

安定した品質管理
細かいチェック
計画通りの実践など
これまで、日本人が得意とし
世界で勝ってきた資質だけでは
勝てない。

日本人としての価値観は
一朝一夕に変えられるものでは
ありません。

グローバル人材になる、とは
地道な長い、道のりです。

グローバル人材のあなたが
世界で勝つためのノウハウ、
スキル、そしてマインドセットを
身に着けていただくために
私たちができる支援は
何でもさせていただきたい
思っています。

日本人がどんな価値観を持っているか
無料レポートにまとめましたので
こちらもぜひ、読んでみてください。

さて、次回は第五の次元、
「長期志向 対 短期志向」
について説明します。

お楽しみに!

 


加藤真佐子/宮森千嘉子

- 加藤 真佐子 プロフィール -ファシリテーター在蘭日系企業で16年間人事業務に従事し、人事、マネージメントの前提、当たり前が各国で異なること、また企業の成長、市場の変化などにより、それまで機能していた組織文化が組織の足かせになり得ることを体験。同企業でホフステード・インサイツの異文化及び組織文化マネージメントアプローチをクライアントとして体験したことをきっかけに、独立してホフステード・インサイツに参加。異文化、組織文化ファシリテータ、コーチとして多様な文化的背景を持つ人々がより良き協働関係、組織文化を構築することを支援している。幼少期および学生時代の一部を米国で過ごし、現在オランダ在住。上智大学修士課程国際関係論終了。国際コーチング連盟認定コーチ。- 宮森 千嘉子 プロフィール -ファウンダーサントリー広報部勤務後、HP、GEの日本法人でコミュニケーションとパブリック・アフェアーズを統括、組織文化の持つビジネスへのインパクトを熟知する。また50 カ国を超える国籍のメンバーとプロジェクトを推進する中で、多様性のあるチームの持つポテンシャルと難しさを痛感。「組織と文化」を生涯のテーマとし、企業、教育機関の支援に取り組んでいる。米国イリノイ州シカゴ市在住。異文化適応力診断(IRC) , CQ(Cultural Intelligence) , GCI (Global Competencies Inventory), 及びImmunity to Change (ITC) 認定ファシリテータ、MPF社認定グローバル教育教材<文化の世界地図>(TM)インストラクター、地球村認定講師、デール・カーネギートレーナーコース終了。共著に「個を活かすダイバーシティ戦略」。青山学院大学文学部フランス文学科、英国 アシュリッシビジネススクール(MBA)卒。

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