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新年あけましておめでとうございます。Hofstede Insights Japan代表取締役の渡邉寧です。
2025年は、Hofstede Insights Japanとして約10年という区切りの年でした。この10年間、私たちは志を共にする仲間と共に、ホフステードモデルを日本のなるべく多くの方に届けるということを行ってきました。
私自身も、文化とマネジメントという領域の面白さを深く感じて、2025年に博士号を取得しました。アカデミズムの世界で進んでいる研究と、ビジネスの現場での実践をつなげるということを、より高い専門性のもとに進めていきます。
そして2026年、ひとつ新しい方向に踏み出したいと思っていることがあります。
サービス提供者として感じていたこと
これまで、ワークショップを通じてホフステードモデルの知見をお伝えするということを行ってきました。日本の常識で仕事をすると、グローバルで仕事をする際に「なんかうまくいかない」というところがあります。ホフステードの文化次元は、そうした問題のメカニズムを説明してくれるモデルとして、非常に腹落ちしやすい。
一方で、サービス提供側として「もうちょっとちゃんとやりたいな」と思っていたことがあります。
それは組織文化です。
研修やワークショップは、個人に対する教育としてはとても有効だと思います。ただ、個人は組織の中で仕事をしているわけで、組織文化の影響を強く受けている。研修やワークショップを受けた後に、個人が組織の中で、あるべきマネジメントの仕方や仕事の進め方を実現するなら、個人に知識を伝えることと、組織文化がどうなっているのかを明確にし、それにどう対応するかを考えることを同時に行う必要があると思います。
ただ、ホフステードの国民文化の次元を使って、組織文化を測定したり分析するアプローチには実は理論的・方法論的な課題がありました。ホフステードの国民文化の次元はもともと国レベルの分析のために作られたもので、それを個人や組織のレベルに適用するには、概念としての妥当性や測定の方法などいくつかの課題が指摘されています。
一方で、明らかに、日本の組織でよくみられる問題は、ホフステードモデルで説明されると腹落ちすることがあります。例えば、日本人がなかなか発言せず、特にグローバルで存在感が出しにくいとか、組織としての日本の会社の意思決定が遅いとか、新興国での日本人のリーダーシップの受けが悪いとか、北米でのコミュニケーションのテンポについていけないといった課題。ホフステードのモデルのレンズで見ると、なぜそうなるのか議論ができる。
であるのなら、実際に、自分の組織・チームの組織文化をホフステードモデルの次元を軸足に見える化して、どこに課題があるのかを明確にし、どう変えていくのがいいのかの示唆を得ることに使えないものか。実際にそれを踏まえて何かをやってみて、本当にマネジメントが変わったのか。組織の動きが速くなったのか。リーダーシップが改善されたのか。そこを検証することはできないものか。研修等を通じて個人に対して働きかけるのと同時に、組織文化にも働きかけをして、変革の方向性を合わせられないものか。
ホフステードモデルにご興味を持っていただいた皆さんの中にも、そういう課題感を持っている方はいらっしゃるのではないでしょうか。
2026年、取り組みたいこと
2026年に取り組みたいのは、まさにここなんです。
ホフステードの枠組みを使って、個人の価値観と組織の文化を同時に測定・分析する。そこから見えてくる課題をもとに、具体的な介入策を一緒に考える。そして、その結果がどう変化したかを追いかける。このサイクルを、比較的長期のお付き合いの中で回していくということをやりたいと思っています。
学術の世界で指摘されてきた理論的・方法論的難しさはあるのですが、データの測定の仕方と統計処理の工夫で、この問題は一定程度乗り越えられると考えています。
これによって、施策の効果が見えるようになる。次に何をすべきかの優先順位がつけやすくなる。人材育成や組織開発の費用対効果について、より説明責任を果たしやすくなる。そういうことができるんじゃないかと考えています。
場合によっては、学術研究として成果を発表していくことも考えています。日本の組織開発の文脈で、社会的に意義のある実践を積み重ねていきたいと思っています。
まだ発展途上の取り組みですが、「ちょっと話を聞いてみたい」という方がいらっしゃれば、ぜひお気軽にコンタクトをいただければ嬉しいです。今年もブログで進捗を共有していきますので、引き続きよろしくお願いいたします。
2026年が皆さまにとって良い年になりますように。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
渡邉 寧
博士(人間・環境学)
代表取締役
シニアファシリテーター
慶応義塾大学文学部/政策・メディア研究科卒業後、ソニー株式会社に入社。7年に渡り国内/海外マーケティングに従事。約3年の英国赴任を経てボストン・コンサルティング・グループに入社。メーカー、公共サービス、金融など、幅広い業界のプロジェクトに4年間従事。2014年に独立。2025年に京都大学大学院人間・環境学研究科にて博士号取得。専門は文化心理学、組織行動。最近の研究テーマはAIの社会実装 × 職場の幸福感 × 文化の違い