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日本はハイコンテクスト

2014.02.06 加藤真佐子/宮森千嘉子

こんにちは!

異文化経営/組織文化の専門家集団、
itimインターナショナルが運営する
「グローバル人材研究所」のサイトへようこそ!
itimの加藤真佐子と宮森千嘉子です。

前回は、異文化対応能力のふたつ目、
「異文化間コミュニケーション・対話の力」
についてご説明しました。

今回は、この能力を、
「ハイコンテクスト」と
「ローコンテクスト」という視点から
説明します。

その前に、いますぐご自身の異文化対応能力を
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さて前回、
「異文化間コミュニケーション・
対話の力」には

  • 相手の言う事を積極的に聞く力
  • 対話スタイルを調整する力

二つの要素があるとご説明しました。

これを説明するのが、エドワード・ホールが提唱した
「ハイコンテクストと
ローコンテクスト」という概念です。

ハイコンテクストコミュニケーションとは、
会話の内容(コンテント)だけではなく、
共通の知識・体験・価値観・ロジック・
嗜好性など(コンテクスト)に
頼る度合いの高いコミュニケーションスタイルです。

「一を聞いて十を知り、空気を読む」ことが期待されている
日本社会のコミュニケーションスタイルは
世界の中でも最もハイコンテクストな部類に入ります。

これは共通のコンテクストを持つ人同士(ツーカーの仲)では、
非常にうまく行く、
効率の高いコミュニケーションスタイルです。

しかし、コンテクストを共有しない
異文化の人々とのコミュニケーションには
向いていない、というのが一般的な見解です。

「グローバル人材のコミュニケーション=
ローコンテクストコミュニケーション」
と言う訳です。

この点については、
第二要素「対話スタイルを調整する力」で
更に触れて見たいと思います。

ところで、
第一要素、「相手の言う事を積極的に聞く力」では、
意識して使えば、日本人のハイコンテクスト
コミュニケーションスタイルが
役立ちます。

いわゆる欧米諸国はローコンテクスト文化ですが、
新興国(BRIC)、東南アジア諸国、中近東、
アフリカなど、これからもっと関係が深まって行く
国々もほとんどハイコンテクスト文化だからです。

欧米人にとって、新興国(そしてもちろん日本)との
コミュニケーションは、
コンテクストが読めないために
非常に困難です。

日本人は、新興国の人々と
コンテクストは共有していませんが、
少なくとも、
「あれ変だな?
言っている事とやっていることが違う?」
というコンテクスト(非言語コミュニケーション)への
アンテナは養われている人が多いと言えます。

このアンテナは、複数国出身の人々からなる
チームで仕事をする時、大変有効です。

例えば、言葉には出ていないけれど、
雰囲気がおかしいことをキャッチする力は
「相手の言う事を積極的に聞く力」です。

わたしが英語もそれほど上手でないのに
グローバルを統括するプロジェクトマネジャーに
選ばれたのは、日本人として培われた
「相手の言うことを積極的に聞く力」を
もっていたからにほかなりません。

しかし、行間の読めない
ローコンテクストコミュニケーター
をばかにしている場合ではありません。

行間、空気を読んで何かを察知したら、
それを、言葉にして正確に伝えなければなりません。

それが、多くの日本人が苦手とする
第二要素「対話スタイルを調整する力」です。

わたしは大変,苦労しました。
「何を言いたいかわからない!」と、
何度チームメンバーから罵られたことか。

あなたが平均的な日本人だとしたら、
ローコンテクストの欧米人との会話では
「結論から話す」必要があるでしょうし、
ノーという言葉を
意図的に使わなければならないでしょう。

しかし、アセスメントツールで測定する
異文化コミュニケーション能力の第2要素は、
ローコンテクストコミュニケーション力ではなく、
相手のニーズに合わせて
「対話スタイルを調整する力」です。

ローコンテクストの欧米人にとっては、全く逆に
アジア人と話す時、視線を弱め、沈黙を尊敬し、
イエスノーをもっと間接的に言うこと。
つまり、意図的に
ハイコンテクストコミュニケーションスタイルを使える事が、
彼らにとっての異文化コミュニケーション能力なのです。

とは言っても、
異文化の人たちが理解し合うためには、やはり、
ローコンテクストコミュニケーションが必要です。

相手がハイコンテクスト文化の人でも
コンテクストを共有していないから。そして、
相手がローコンテクスト文化の人なら、
相手にコンテクストから情報を得るスキルがないからです。

非常にハイコンテクストに慣れている
私たち日本人は、ローコンテクスト文化の人たちには、
「言葉にして言わない事は何も伝わっていない」
という覚悟で接する必要があります。

以上、異文化コミュニケーション能力について、
日本人全般に当てはまることを書きました。

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次回は三つ目の能力
「コミットメント構築力」をご説明します。

是非読んで下さいね!


加藤真佐子/宮森千嘉子

- 加藤 真佐子 プロフィール -ファシリテーター在蘭日系企業で16年間人事業務に従事し、人事、マネージメントの前提、当たり前が各国で異なること、また企業の成長、市場の変化などにより、それまで機能していた組織文化が組織の足かせになり得ることを体験。同企業でホフステード・インサイツの異文化及び組織文化マネージメントアプローチをクライアントとして体験したことをきっかけに、独立してホフステード・インサイツに参加。異文化、組織文化ファシリテータ、コーチとして多様な文化的背景を持つ人々がより良き協働関係、組織文化を構築することを支援している。幼少期および学生時代の一部を米国で過ごし、現在オランダ在住。上智大学修士課程国際関係論終了。国際コーチング連盟認定コーチ。- 宮森 千嘉子 プロフィール -ファウンダーサントリー広報部勤務後、HP、GEの日本法人でコミュニケーションとパブリック・アフェアーズを統括、組織文化の持つビジネスへのインパクトを熟知する。また50 カ国を超える国籍のメンバーとプロジェクトを推進する中で、多様性のあるチームの持つポテンシャルと難しさを痛感。「組織と文化」を生涯のテーマとし、企業、教育機関の支援に取り組んでいる。米国イリノイ州シカゴ市在住。異文化適応力診断(IRC) , CQ(Cultural Intelligence) , GCI (Global Competencies Inventory), 及びImmunity to Change (ITC) 認定ファシリテータ、MPF社認定グローバル教育教材<文化の世界地図>(TM)インストラクター、地球村認定講師、デール・カーネギートレーナーコース終了。共著に「個を活かすダイバーシティ戦略」。青山学院大学文学部フランス文学科、英国 アシュリッシビジネススクール(MBA)卒。

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