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デンマークのヒュッゲ(HYGGE)のご紹介 vol.4 – ”幸せの国”デンマーク 「みんなでごはん」から生まれるヒュッゲ

2022.05.30 祖父江 玲奈

”幸せの国”デンマーク 「みんなでごはん」から生まれるヒュッゲ

デンマークの
ヒュッゲ(HYGGE)のご紹介

vol.4

”幸せの国”デンマーク 「みんなでごはん」から生まれるヒュッゲ

今回は、デンマークのフェレスピースニン*(Fællesspisning)、「みんなでごはん」という文化について書いていきたいと思います。

デンマークの首都コペンハーゲンでは、2018年頃から、人々が集まって食事をするのが大きなトレンドになっています。
フェレスピースニンとは直訳すると「仲間と共に食事をする」ということ。家族だけではなく、初めての人も参加して、いろんな人と一緒に食事をするというのがデンマークのフェレスピースニンです。

日本では共食という言葉も使われますが、個食/孤食=一人での食事、寂しい食事、の対語として使われ、かなり広い概念です。英語にも直訳する概念がないデンマークの文化なので、あえてデンマーク語のままフェレスピースニンとしています。

みんなでごはん の先駆け アブサロン

前記事ではコペンハーゲンで一番有名なフェレスピースニン、キリスト教会を改装したコミュニティセンター、アブサロンをご紹介しました。
アブサロンでは様々なイベントも開催しており、卓球やビリヤードで遊ぶ若者や、ビンゴゲームに参加する年配のご婦人まで様々な年代の人が参加しています。地元の人もちょっと遠くの人も、私のように旅行者も参加してヒュゲリな時間が生まれています。

テーブルをシェアする人たちの中で、誰かがテーブルをシェアする人数分のお皿やカトラリー、お水などを取ってくる。今度は他の人が料理を取り分ける。食事が終わったら、他の人が全員分を片付けて、みんなで食事の時間を作ります。この習慣は、デンマークではエフタスコーレやフォルケホイスコーレなどの学校の食堂でも見られる共通のやり方。みんなで集まってごはんを食べる、人と集まる豊かさを楽しむ場として、地域の人たちからとても愛されています。

いろいろな みんなでごはん の場

コペンハーゲンには他にもたくさんのフェレスピースニンが存在します。

私がもう一つ参加したのは、Aarstiderne(オースティダネ、季節を意味するデンマーク語)というオーガニックの野菜や食品を扱う会社主催のフェレスピースニンです。こちらはオーガニック野菜を定期購入している人がオーガニックの農場を見学して野菜を味わったり意見交換したり、という場として提供されているのですが、スペースがある限り、一般の人も参加することができます。コペンハーゲンから電車で40分ほどのところにある農場でのフェレスピースニンが有名です。

フェレスピースニン

私が参加したのはキャベツの漬物を作る発酵コースがセットになったフェレスピースニン。テーブルをシェアする人は一緒にキャベツを刻んだりスパイスを混ぜたり。

みんなでわいわい料理体験をしたら、楽しくごはんの時間。ドリンクは自分で購入しますが、テーブルセッティングとして、お水やカトラリー、ナプキンなどはみんなで準備します。
オーガニック野菜のベジタリアンメニューも楽しみなところ。

フェレスピースニン

テーブルにはお友達や家族で来ている方ももちろんたくさん。でも、オーガニック野菜への興味や同じ体験への参加など、好奇心を共有するところもあって、テーブルを共有するなかに、いろいろな話ができました。一緒に過ごす喜び、とても楽しい時間でした。

みんなでごはん の良さとは

フェレスピースニンに参加してみると、これが本当に楽しいのです。もちろんそれぞれの場に特化した要素もあるのですが、共通して良いなと感じる点を書きたいと思います。

まず、役割があることで、会話が生まれやすいこと。
テーブルセッティングや食べ物を取りに行く、お代わりをお願いする、など、食事にまつわる部分ではいくつものお仕事があります。
セルフサービスでは、自分の食べ物や飲み物は自分で取りにいきます。別に問題はないんですが、それだと周りの人との会話は生まれないんですよね。食卓を共有する人と、一緒に会話が始まる。そのことによって、食事を始めてからの会話も、広がっている気がします。

さらに、一緒に作業して、一緒に食事を始めるということ。
テーブルセッティングをして、みんなが席について、お水もあるよね、食べ物もある、ではみんなで、いただきます!という流れがあるので、みんなでやり遂げた感があります 笑。自分も、その場の一員として参加している感じが強く感じられると思います。

垣根が低く、いろんな人を受け入れてくれる。レストランのようにかしこまる必要はない。家族や友人と参加しても、他にもいろんな人がいるので、様々な会話も生まれる。

人と一緒に過ごす時間は豊かな時間、
一緒にごはんを食べるって、幸せなこと。

それをしみじみと感じることができる文化。
デンマークのフェレスピースニン、幸せな気持ちになれる素敵な場です。

私が主催するヒュッゲを味わう会も、みんなでごはん方式です 笑。
ぜひ東京にいらっしゃる方は味わいに来てくださいね。

* これまでイベントや記事でコミュニティ・ディナーという訳を使ってきましたが、人と食事をするというデンマークの文化としての意味をより忠実に表すため、フェレスピースニン=みんなでごはん に統一します


祖父江 玲奈

ファシリテーター

中央大学総合政策学部卒業。アクセンチュアにて、組織戦略、組織設計、人材開発戦略を中心とするコンサルティング業務に従事。多くのインターナショナルプロジェクトに参画する。その後、日産自動車株式会社にて、女性のお客様をターゲットとした商品開発を担当。グローバル共通/地域固有でのお客様調査、また男女差の科学的分析に基づいて多くの提案を行い、商品を実現した。商品開発でのアイディア創出プロセスにおいて、論理的・俯瞰的視点による多面的分析力、また画像/ビジュアルイメージやプロトタイプを通じた複合的な情報収集(キュレーション)のプロセスが、新しい商品像を生み出すために非常に重要であることを発見。イノベーションを生み出すアイディア創出方法を構築中。
青山学院大学ワークショップデザイナー講座 修了。デンマークデザインスクール KaosPilot Creative Leadership course 修了。シータヒーリング認定インストラクター/プラクティショナー

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