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デンマークのヒュッゲ(HYGGE)のご紹介 vol.5 – ”幸せの国”デンマークのヒュッゲという言葉の魔法

2022.06.13 祖父江 玲奈

”幸せの国”デンマークのヒュッゲという言葉の魔法

デンマークの
ヒュッゲ(HYGGE)のご紹介

vol.5

”幸せの国”デンマークの
ヒュッゲという言葉の魔法

今回は、”ヒュッゲ(Hygge)”という言葉について考えたいと思います。

ヒュッゲは翻訳できないデンマークの言葉、と言われています。確かに、直訳できる言葉は、日本語にも、英語にもないと思います。
デンマーク語でのヒュッゲという言葉、その使われ方を見ていきましょう。

ヒュッゲという言葉

まず、ヒュッゲは名詞です。「人とのつながりから生まれる、ほっとする居心地の良さ・幸福感」を示しています。人によってヒュッゲを感じるシーンは様々かもしれませんが、この「心地よさ」というものを感じること、それがヒュッゲです。
ヒュッゲそのものの意味を知りたい方は、ぜひ前の記事へ。

名詞のヒュッゲは、クリスマスヒュッゲ(Julehygge)、イースターヒュッゲ(Påskehygge)、誕生日のヒュッゲ(Fødselsdagshygge)のように、その季節やイベントならではの楽しみを意味する形でも使われます。
クリスマスヒュッゲだったら、家族でクリスマスの飾り付けをしたり、クリスマスクッキーを焼いたり。クリスマスマーケットに出かけて買い物を楽しんだり、寒い中でホットワインを楽しんだり。また、同僚や友人と過ごすクリスマスランチという習慣などもあります。そんな様々な楽しみ方を、ヒュッゲという心地よさの中にひっくるめて持っている言葉なんです。

クリスマスヒュッゲの会
(以前開催したクリスマスヒュッゲの会の様子です)

名詞のヒュッゲは、英語圏でそのままヒュッゲ(hygge)として使われるようになってきています。2016年に幸福度ランキング1位になったデンマークの幸福の秘訣として着目され、幸福感を感じるライフスタイルの代名詞として、ヒュッゲがそのまま使われる形になりました。

会話で使われるヒュッゲ(動詞と形容詞)

デンマーク語では名詞だけでなく、ヒュッゲは動詞としても使います。心地よく仲間と過ごしているとき、「楽しいね」という意味で、「ヒュッゲしてるね(Vi hygger os)」と使います。
週末は何する予定?と友人と話になったときなどに、ちょっとヒュッゲするつもりだよ(vi skal bare hygge os)と答えたりします。それは、家にいるつもりなんだ、あまり予定を入れないようにしてのんびり過ごすよ、という意味だそう。

この、自分がゆったりと過ごすつもり、というときにヒュッゲを使うというのが面白いなと思います。のんびりするつもり、は日本語の会話でもよく出てくると思うのですが、ニュアンスが違うと思うのです。日本語では、自宅でゆったりする、というのはお休みモードに近いと思いますが、デンマーク語では、積極的にヒュッゲしたいんだ、という感覚で言われている気がします。ヒュッゲという言葉を通して、ゆっくりするという大切な時間を過ごすよ、と受け止められていると思います。

vi skal bare hygge os

そして、形容詞のヒュゲリ(Hyggelig(t))。
前記事「ヒュッゲを味わう会」のレポートでも書きましたが、「いい時間だったね」という意味で「本当にヒュゲリな時間だったよ(Det var virkelig hyggeligt)」と使います。

お友達の家でのホームパーティで楽しい時間を過ごした。それもヒュゲリな時間です。ですが、ヒュゲリな感覚は形に捉われないのです。
例えば、久しぶりの友人と、道端でばったり出会って立ち話。それは時間にしたら、たかが5分かもしれない。でも、ああ、ここで偶然出会えて、話もできて、嬉しかった。そういうときに「ヒュゲリな時間だったよ」と伝えるのです。そうすることで、その嬉しさと感謝を伝えることができるのです。

ヒュッゲという言葉の存在

ヒュッゲの心地よさは、日本人でも感じられますし、むしろとても好きなのではないかと思います。日本にもたくさんのヒュッゲがあります。

ですが、ヒュッゲという言葉が存在すること、その存在はとても大きいと思います。
言葉としてのヒュッゲが存在することで、ほっこりする暖かい気持ち、自分の幸福感を伝えたり、この気分を感じているというのはいいことだね、とお互いの心地よさを受けとめて認め合うことができるということです。

もちろん一人一人、仕事や趣味、家族や友人との過ごし方は異なります。みんなとでも一人でも、忙しくてもそうでなくても。ヒュッゲの心地よさ、幸福感を感じていることは、人生にとって大切だ、という価値観をみんなが認めている、それがヒュッゲという言葉の持つ魔法なのではないかと思います。

私の大切な友人は、空港へ見送りに来てくれて、こう言いました。

「君が来てくれて、
とってもヒュゲリな時間だった。
本当にありがとう」

その言い方に、本当に一緒に楽しんでくれたんだな、と、しみじみ嬉しくなりました。感謝、一緒に過ごせた喜び、豊かな時間による幸福感、、、いろいろな嬉しい気持ちを、暖かく伝えてくれる言葉でした。

みなさんもぜひ、ヒュッゲの言葉の魔法を使ってみませんか。
いい時間を過ごせたとき。その気持ちを伝えてみてください。お互いにいい時間だったね、と豊かな時間への感謝が広がる。そんな幸福感の広がりが、ヒュッゲなんじゃないかと思います。


祖父江 玲奈

ファシリテーター

中央大学総合政策学部卒業。アクセンチュアにて、組織戦略、組織設計、人材開発戦略を中心とするコンサルティング業務に従事。多くのインターナショナルプロジェクトに参画する。その後、日産自動車株式会社にて、女性のお客様をターゲットとした商品開発を担当。グローバル共通/地域固有でのお客様調査、また男女差の科学的分析に基づいて多くの提案を行い、商品を実現した。商品開発でのアイディア創出プロセスにおいて、論理的・俯瞰的視点による多面的分析力、また画像/ビジュアルイメージやプロトタイプを通じた複合的な情報収集(キュレーション)のプロセスが、新しい商品像を生み出すために非常に重要であることを発見。イノベーションを生み出すアイディア創出方法を構築中。
青山学院大学ワークショップデザイナー講座 修了。デンマークデザインスクール KaosPilot Creative Leadership course 修了。シータヒーリング認定インストラクター/プラクティショナー

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