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4月19日(金)に東京・虎ノ門で開催した『経営戦略としての 異文化適応力 ホフステード6次元 モデルの実践的活用法』出版記念イベントの様子をお伝えします。
会場となったのは神谷町駅からすぐのPhoneAppli様のオフィスです。「対面(Meet)してコラボ(Collaboration)する場所(Place)にしたいという願いから「CaMP(キャンプ)」という愛称がつけられています。スノーピークのアウトドア―用の椅子やテントが配されていて、わくわくさせられるインテリアです。
まず、共著者の一人でシカゴ在住、弊社取締役の宮森千嘉子からビデオメッセージをご紹介。
「表紙にも大きく記されているCQ=Cultural Intelligenceとは、異なる文化の人と効果的な対応をできる力です。これから益々求められるのが明白なのにCQの高い人材を見つけるのは難しい。英語ができる帰国子女や駐在経験者が必ずしもCQが高いとは限らない、またEQが高いからCQも高いとも言えない。CQを高めるには、違うことに気づく、なぜ違うのかを知る、実践する、内省する、この4つのステップを回していくことに尽きるのです。」「自分は国の文化の影響はあまり受けていないという人もいるが、自国の国民文化をそれと意識することは実は多くない。それは無意識のうちに身についている行動のプログラミングの一つだからです。」という本のキーメッセージが語られました。ビデオは「皆さんは異文化環境での協同プロセスで、どうやって効果的に成果を出していますか。今日はそんな問いについて話し合われることを期待しています。」という問いかけで締めくくられていました。
続いて、もう一人の共著者である宮林隆吉氏(宮)が登壇し弊社取締役の間瀬陽子(間)との対談がスタート。
間:まずは出版おめでとうございます。背景にはどのような想いがありましたか。
宮:ありがとうございます。「文化」がテーマなので偏見を助長せず客観的な裏付けのあるものをとの思いを強く持っていました。そのための苦労が多く、結局脱稿まで1年近くかかりました。ここ数年異文化に関する本が増えましたが、日本人が書いたものは多くありません。この本には日本の読者の方々が実際に活用していただけるよう、自分自身でも仕事の現場で使えると思う事例やエピソードを重点的に含めました
間:著者のお二人の間では「CQ本」と呼んでいるそうですね。CQについては、冒頭の宮森の解説のとおりですが、CQが高く無いことがトラブルにつながる、というのはどのようなシーンでしょうか。
宮:例えば、不確実性回避性向(UAI)が高い国と低い国の人たちでは、プロジェクトの進め方が違います。日本の様にUAIが高い国では危ういところを潰すのに時間をかけますが、米国の様にUAIが低い国ではゴールまでトライアンドエラーで階段状に、スピードをもって進めます。お互いが自分のやり方が最善だと思っていると落としどころが見つかりません。ここにCQがあれば進め方について話合ったり選択したりして、最適化することができるでしょう。
間:なるほど、日本人としてはまず日本のUAIの相対的な高さを意識できると良さそうですね。外国間のプロジェクトでも問題が起こりますか?
宮:本にも載せたインドのIT企業のケースがその例です。納品日に間に合うか心配する米国人の上司とインド人の部下のすれ違いの話。インドは権力格差性向(PDI)が高い国で部下は上司に「間に合うのか」と聞かれても「No(間に合わない)」とは言いにくいし、言うことにストレスを覚える文化です。この場合、部下は間接的に「No」を伝えようとするのですが、PDIが低くフラットな意思疎通を前提にしている米国人の上司には伝わらない。コミュニケーションの成立の仕方が違うということに気づき、理由を知った上で、うまくやっていく必要があります。
間:どの国にもそういった違いがあり、相手によってはその違いを理解した上で工夫が必要になる、ということなのですね。
宮:そうですね。日本人は日本のことを集団主義だと思っている傾向がありますが、それは米国と比べてのことで、アジア諸国と比べるとむしろ個人主義寄りです。ホフステードのモデルでは文化は絶対的ではなく相対的なもの。この「文化の相対性」を意識する必要があります。また日本人は「日本はユニークだ」とよく言います。これについて外国人からは「あ、また(言い訳が)出たな」と思われがちです。ところがホフステードのモデルでも世界の国々は6つの文化圏に分類できるのに、日本はそのいずれにも属さない。オランダ人のホフステード博士が学術的に言っているのです(会場は爆笑)。ということは我々は世界中の誰よりもグローバルになれるポテンシャルがあるとも言えるのではないでしょうか。
対談後は、参加者の皆様に3-4人のグループに分かれていただき、異文化にまつわる経験や今感じていることをお話しいただきました。会場をお借りしたPhoneAppliさんの社内は緑豊かで、一同飲み物を片手にバーカウンターを囲んでくつろいだ雰囲気。
「そろそろお席にお戻りください」と3回もコールするほど(笑)、談笑が盛り上がりました。
最後に皆様から「本を読んで現場に役立てるようにしたい」「消化してシェアしたい」「日本人のCQを高めたい」「早く家に帰ってこの本を読みたい」「きっと今まで感じていたことが『そうだったのか!』と叫びながら読めると思う。」など、嬉しいコメントをたくさんいただき、閉会の運びなりました。
ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。
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