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なぜ我々は信頼するのか。MILAN2018 Conference Report(2)

2018.12.28 広崎 淳一

MILAN2018 Conference Report 後編

ヘルシンキに本部を構えるホフステード・インサイツ・グループ(HIG)では年に1度、世界各地で活躍するアソシエート・パートナー(AP)達が集合する機会があります。今年も10月初頭にミラノにて開催されたカンファレンスの模様を、前回の間瀬に続き廣﨑がお伝えします。

なぜ我々は信頼するのか

3日間のカンファレンスの最終日は会場をミラノのシンボルであるドゥオモ近くにあるメディオ銀行(Mediobanca)に移し、パートナーやゲストを招いて盛大に開催されました。この日に行われた多くの講演の中で最も気になったのはポルトガルから参加したパウロが行った「なぜ我々は信頼するのか?」というタイトルのものでした。

信頼がある状態とない状態では、統制(コントロール)、スピード、コストが変わります。たとえば2001年に起きたニューヨークの同時多発テロによって損なわれた信頼は、空港での保安検査に変化を引き起こしました。保安検査(統制)が厳しくなり、検査にかかる時間(スピード)は長くなり、より多くの検査官を雇用し、新たな検査機械を導入したためにコストがあがったのです。

では信頼は私たちのビジネス環境にはどのように影響するのでしょうか。パウロの10年にわたる研究で明らかになったところによると信頼の高い組織においては、低い組織と比較して以下のような違いが見られたそうです。

–    ストレスが74%低下する

–    生産性が50%向上する

–    傷病休暇が13%削減する

–    従業員間のエンゲージメントが76%増加する

–    日々の満足度が29%向上する

–    燃え尽き症候群が40%低下する

こうしたデータを用いながら信頼を勝ち得ることはビジネスを遂行する上で非常に重要であるということを証明した講演でした。

信頼へのアプローチは、6次元モデルの個人主義・集団主義の次元が大きくかかわる

では、信頼を勝ち得るためのアプローチ、あるいはそもそも信頼とはどのように形成されるのでしょうか。そこには国や文化による違いはあるのでしょうか。実は信頼の形成にはホフステードの6次元モデルの個人主義・集団主義の次元が大きくかかわります。

集団主義が強い文化において、信頼とは人と人の関係ベースから生まれるもので、その構築には時間を要す一方で、その関係は長期的なものとなり、仕事上の関係が消滅しても信頼関係が続きます。また、ひとたび集団の内側の人と認知されれば情報のやりとりは容易となり、仕事もスムースに進みます。この世界においては縁故主義や社会的に信用の高い人とのつながりは、信頼の太さを表すバロメーターと言えます。

他方、個人主義が強い文化においては、タスクベースの信頼が中心となります。ここでは信頼はそのタスクを期待に添う形で実現した成果そのものに向き、次いでそれを成し遂げたあなたを信頼するという流れになります。一方で、その関係はあくまで仕事上でのものであり、一つの仕事が終われば人間関係も希薄になる傾向があります。

信頼と一口に言っても文化に応じてその意味することや、関係構築のアプローチの違いをご理解いただけたかと思います。

ホフステード・インサイツ・ジャパンでは6次元のモデルと豊富な事例をもとにみなさまの異文化対応力向上をご支援いたします。どうぞ、お気軽にお問い合わせください。


WRITER

広崎 淳一

Hofstede Insights Japan 取締役
ファシリテーター

モトローラ勤務後、アクセンチュアでITコンサルティング、シスコシステムズで日本及び東南アジア担当CIO(情報担当役員)、マイクロソフトで情報システム統括などを歴任。多くのグローバルプロジェクトや、グローバル組織をリードするかたわら、文化が持つインパクトを身をもって体験した。組織の成功のためにダイバーシティとインクルージョン(D&I)の重要性に気づき、以降は、シスコとマイクロソフトにてD&I活動のスポンサーを務める。また、働き方改革についても、シスコとマイクロソフトでの体験を通じ、多くの講演経験を持つ。現在は次世代リーダーの育成と組織開発に力をいれ、スピーカー、ファシリテーターやコーチとしてクライアントの成長をサポートしている。テンプル大学経営学修士(Executive MBA)

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