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#TheCultureFactor2019 In Luxembourg

2020.01.10 宮崎 百合子

#TheCultureFactor2019 In Luxembourg
ルクセンブルグにて、 ホフステード・インサイツの国際会議が開かれました

ヘルシンキに本部を構えるホフステード・インサイツ・グループでは年に1度、世界各地で活躍するアソシエイトパートナー達が集合する機会があります。2019年も11月13日(水)から15日(金)まで、ルクセンブルグにてカンファレンスが開催され、日本からも7名のアソシエイトパートナーが参加、ワークショップやプレゼンテーションなどにも貢献しながら、世界のプロフェッショナルとネットワークを深めました。

ルクセンブルグは一人あたりのGDPが世界1

ルクセンブルグ大公国は、人口が60万人という小さな国ですが、1992年以降、一人あたりのGDPが世界1という国でもあります。人口は60万人ながら、労働人口は80万人!つまり、20万人の人達が日々国境を超えて通勤しています。国民は、平均すると3.6ヶ国語を話し、受付や接客に関わる人は4ヶ国語は話す必要があるといわれています。現在、この国に住む人の半数近くが外国籍、今では外国籍の赤ちゃんのほうが多くなっているそうです。多言語を操る語学力や異文化対応力も、グローバルな社会で付加価値を生み出すことに寄与していそうです。

多文化では必須のCQ(異文化対応力)

ルクセンブルグは、フランス、ドイツ、ベルギーと隣接しています。ベネルクス3国と言われるオランダもすぐ近くです。ホフステードの6次元モデルで見ると、「個人主義」という軸では、どの国も高めのスコアを持ちますが、「権力格差」と「不確実性の回避」という軸で見ると大きな違いが現れます。

「不確実性の回避」と「権力格差」が高いベルギーやフランスでは、規則や構造に則って、社会的地位の高い立場の人が権限を持って秩序を保っていくことを重視します。親、先生、医者、上司という立場の人には従うという形が自然です。一方、ドイツやルクセンブルグ、オランダでは、「権力格差」が低いので、上下関係はあるものの便宜的なもので皆が平等の権利を持っていると考えます。権力を持つ立場の人との距離感は近く、それぞれに意見を言い合うことは自然な形です。そして、オランダは、不確実性の回避が低いので、不確実で曖昧な状況を受け止めて、規則や構造を持つよりも柔軟な対応を好む傾向があります。

毎日の生活から職場まで、多文化の人々と日常的に暮らしているこのようなヨーロッパでは、多文化を俯瞰して理解するツールは必須なのです。文化の違いに感度を持ち、お互いのベストを活かしていくことで多文化ならではの付加価値も生まれてくるのでしょう。ホフステード理論がこのようなヨーロッパで、生まれて研究が続いているということを実感しました。

「インターナル・カンファレンス」では30カ国からのアソシエイトが集合

11月13日と14日の二日間は、インターナル・カンファレンスという形で、約30カ国から80名のアソシエイトパートナー(ホフステード・インサイツから認定された文化の専門家)が最新の情報やスキルを磨くために集まりました。会場となったのは、市内から列車で30分ほどの郊外にあるテクノポート。もと製鉄所だったところをインキュベーション施設にしたというインパクトの有るところ。映画のセットのような不思議で刺激的な異空間で始まりました。

 

世界各地のアソシエイトパートナーの周辺やグローバルで起こっているホットトピックスを共有しながら、グローバルにシナジーを生み出すためのアイデアを話し合いました。

文化を学習し続けるプロフェッショナルたちが、ホフステード・モデルの共通言語を持ちながらも、文字通りの異文化の中でネットワークや討議に臨む良い機会となりました。どれだけ異文化に対する理解が深くても、議論が白熱したりストレスが生じると、感情に直結する国民文化の価値観の影響が出てくるものです。そうしたストレスや感情について、時にはお互いに吹き出してしまうことも。ユーモアを持って笑って受け止め合うこともCQ(異文化適応力)のスキルと言えるでしょう。自分の中で起こるそうした感情に自覚的になることもCQを高めていくために重要なことだと体感しました。

ルクセンブルグ商工会議所と共催で一般向けカンファレンス

続いて、11月15日は、ルクセンブルグ商工会議所と共同開催で、一般に公開されたカンファレンスです。60カ国以上、260名の参加者が集まりました。Cultural Intelligence in businessというテーマで、企業、行政、アカデミー、コンサルタントと多様な立場の参加者がプレゼンテーションやワークショップに熱心に参加していました。

ホフステード・インサイツ・ジャパンの宮崎百合子も、ルクセンブルグ人のコンサルタントと一緒にAttract and retain Talentsというテーマでプレゼンテーションを行いました。企業もタレントもグローバルに動く中で、どのように文化を捉えて活かしていくのかと、企業事例を紹介しながらお話しました。

ランチやアフターセッションでのカクテルでは、本セッションとは違うリラックスした雰囲気で多様な業界、立場、地域の皆さんとのネットワークが遅くまで続いていました。周辺諸国の出身者ばかりではなく、アフリカ、南米、中東から来ている方も多いことに驚きながら、グローバルに起こっているダイナミクスを肌で感じた機会となりました。

この一般向けのカンファレンスについては、改めてご紹介します。


宮崎 百合子

シニアファシリテーター

日本企業にて基幹職として実務経験を積み、1996年、株式会社クレーネを設立、能力開発・組織開発コンサルティング活動へ。研修・コンサルティング歴は25年、100社以上。変革とダイバーシティに関するプロジェクトに多く関わらせて頂くが、常に組織の経営課題と合わせて取り組んでいる。米国アスペン研究所、The Association for Talent Development ,内観、等、幅広い研究所や学会への参加を通して、人間や社会と心から向合うべくチャレンジを続けている。

学習院大学経済学部卒業、テンプル大学経営学修士(Executive MBA)
NLPマスタープラクティショナー&NLPコーチ(NLP創始者ジョングリンダー認定)、Organization and Relationship System’s Coaching 認定コーチ、日本キャリア開発協会認定カウンセラー、英国ルミナラーニング社認定プラクティショナー、シックスセカンズEQプラクティショナー、他

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