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歩きながら考える vol.1 – 一石二鳥のすすめ:学習や仕事のモチベーションを長く続けるコツ

2025.03.04 渡邉 寧
「歩きながら考える」vol.1

このシリーズでは、筆者が街を歩きながら、日々の気付きや研究テーマについてのアイデアを語っていきます。ふとしたタイミングで浮かんだアイデアや、知的好奇心をくすぐる話題をラジオ感覚でお届けしています。散歩中のちょっとした思いつきを、ぜひ一緒に味わってみてください。

歩きながら考えるvol.1一石二鳥のすすめ:学習や仕事のモチベーションを長く続けるコツ

こんにちは。今日は「一石二鳥のすすめ」というテーマでお話ししようと思います。異文化関係の領域で仕事をしていると、仕事の会議や研究発表の場で英語を話す必要があります。日本に居ると、日常は日本語で事足りてしまうので、英語力のメンテナンスが大変です。私自身、英語力のメンテナンスを仕事を並行して可能な限りやっているのですが、「モチベーションがなかなか続かない」と感じることが多々あります。

そんな時に突如として現れたのが生成AIです。2024年くらいから、生成AIの音声機能が進化したことにより、英語力のメンテナンスに生成AIが使えるようになりました。私も生成AIを英語力メンテナンス、特にスピーキング力の維持の為に使っているのですが、現状のAIの性能だと、まだちょっと継続してAIと会話するのはそんなに楽しい経験というわけでもありません。

そんな私が自分で試してみて効果があると思っているのが、この“一石二鳥”の考え方です。要は、1回の行動で複数の成果を得ようという発想ですね。

きっかけは英語学習のマンネリ化

もともとは、AIを使った瞬間英作文トレーニングをやっていました。AIに日本語文を用意してもらって、それを即興で英訳するっていう方法ですね。英語を維持・向上させるには、とても効率的だと思って始めたんですが、単調な練習ばかり続けていると、正直言って飽きてしまうわけです。

「このままだと続かない」と感じたときに思いついたのが、「英語学習」と「情報収集」を掛け合わせることでした。つまり、ただ英語の練習をするんじゃなくて、AIとの会話の話題を実際のビジネスニュースにする方法です。複数の目的を同時に達成するデザインにすることで、モチベーションを保とうと考えたということです。

英語学習のマンネリ化イメージ

新聞記事を使ってAIとディスカッション

具体的には、ChatGPTの画面共有機能を使います。スマホで新聞記事を読んで、それを画面共有でAIに見せながら、英語で話し合うというやり方です。たとえば、先日、日経新聞を読んでいて「創業社長と内部昇進の社長で、ROEやPBRにどんな違いがあるのか」というグラフが記事に出ていました。

このグラフをAIと画面共有しながら「これについてどう思うか?」とAIと対話していくわけです。このような方法を取ると、次のようなメリットが自然と得られます。

  1. 英語スピーキングの維持・向上
    あるテーマについて、実際に声に出して話すことで英語の筋肉の維持に役立ちます
  2. 最新の経済・ビジネストピックのインプット
    新聞記事を読んでいるわけなので、日々の情報収集に役立ちます
  3. 記事への理解を深める
    AIと議論すると、「なぜ他の指標ではなくてPBRとROEを見ているのか?」というような疑問が浮かんできて、それをAIと対話することでクリアにできます
AIとの会話の話題を実際のビジネスニュースにするイメージ

一石二鳥をデザインするコツ

一度に複数のメリットを得られると、「やる意味」が増えることになります。英語の勉強となると、「うわ、今日はちょっとめんどくさいな…」って思う日もありますね。一方で「日々のニュースのチェックでもある」と捉えることができるので、続ける理由が増えてきます。

毎年、今年の抱負を作り、「〇〇を勉強するぞ」とか「身体を鍛えるぞ」とか、考えるわけですが、一石二鳥で行動のインセンティブをデザインすることで、より長く努力が継続できるのではないかと思います。

では、どうやってこの一石二鳥をデザインするのか。私が効果的と考えるのは次のポイントです。

  • (1)今すでにやっている習慣に組み合わせる
    たとえば、スマホでニュースをチェックする人なら、その画面をAIと共有するようにする
  • (2)明らかにメリットになることを2つ以上くっつける
    「英語学習+ビジネス情報収集」のように、シンプルな組み合わせにするのが続けやすいです。
  • (3)テクノロジーの掛け算で生まれる新しいメリットを探す
    「ニュースチェック × AI = 知識の進化」のように、テクノロジーは掛け算で使うと思いもよらなかったメリットを生むことがあるので、それを探す

一石二鳥を上手にデザインできると、自分の努力に対するインセンティブが複数経路で発生し、そのリターンの大きさが意識的・無意識的に努力の継続に役立つのではないかと思います。

一石二鳥をデザインするコツイメージ

まとめ:一石二鳥でモチベーションを上げる

結局のところ、モチベーションは「やる意義を何個持てるか」に大きく影響されると思います。やる意義が1つだけだと、そこに対する興味が薄れた瞬間に、自然と努力をしなくなる。しかし、2つも3つもやる意義があれば、そのうちのどれかがトリガーになって「今日もやろうかな」と思えるのではないかと思います。

もしみなさんの中で、「今年の新年の抱負、継続できてないな」とか「最近、勉強を続けるのが大変…」と思っている方がいたら、ぜひ一石二鳥のインセンティブデザインを試してみてください。

英語 × 新聞でもいいですし、私があとやっているのは、ランニング × オーディオブックとか、あと、もう少し大きな話では研究 × 実務などです。自分なりの掛け算を考えてみるのも面白いと思います。

おわりに

というわけで、今日は「一石二鳥のすすめ」と題して、私が英語学習を新聞記事と絡めて進めている話をさせていただきました。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

もし、「私ならこんな組み合わせで一石二鳥を狙います!」みたいなアイデアがあったら、ぜひSNSでシェアして皆さんの考えのコメントをつけてください。ではまた!


渡邉 寧

代表取締役
シニアファシリテーター

慶応義塾大学文学部/政策・メディア研究科卒業後、ソニー株式会社に入社。7年に渡り国内/海外マーケティングに従事。約3年の英国赴任を経てボストン・コンサルティング・グループに入社。メーカー、公共サービス、金融など、幅広い業界のプロジェクトに4年間従事。2014年に独立。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程在籍。専門は文化心理学、組織行動。最近の研究テーマはAIの社会実装 × 職場の幸福感 × 文化の違い

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