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このシリーズでは、筆者が街を歩きながら、日々の気付きや研究テーマについてのアイデアを語っていきます。ふとしたタイミングで浮かんだアイデアや、知的好奇心をくすぐる話題をラジオ感覚でお届けしています。散歩中のちょっとした思いつきを、ぜひ一緒に味わってみてください。
歩きながら考えるvol.2AIとの会話で感情が揺れる話:ChatGPTとGrok 3の違いに驚いた
こんにちは。今日は移動時間を使って、「AIとの会話で感情が揺れる話」をお届けします。最近、AIの進化がすごくて、特にChatGPTやGrok 3の会話モードを使っていると、びっくりするような違いを感じるんですよね。今回はその体験談と、2025年に向けて考えている研究のアイデアをゆるく話してみようと思います。
ChatGPTとGrok 3、開発の方向性が違いすぎ
まず最初に、ChatGPTとGrok 3の会話モードの違いに衝撃を受けた話から。
ChatGPTの音声会話モードって、みなさんも使ったことあるかもしれませんが、めっちゃ丁寧で優しいんですよ。どんな質問しても、「それは素晴らしい考えですね!」とか「そうですね、こういう視点もありますよ」って言ってきますよね。極めて常識的でコミュニケーション能力の高い「有能かつとても良い人」と話している感じ。一方、Grok 3はxAIが作ってるAIで、最近音声会話モードが追加されたんですけど、これがまた全然違う方向性で。
例えば、Grok 3には「アーギュメンテイティブ」っていうモードがあって、これを選ぶと、めちゃ議論好きでアグレッシブな口調でふっかけてくるんですよ。警告で「18プラス」って書いてあって、相当尖ってます。ChatGPTが「すべて受け入れます」路線なら、Grok 3は「何一つ受け入れる気はない」路線で、そのギャップに驚きました。

AIとの会話で感情が揺れる体験
この違いを実感したのが、最近のGrok 3との相談事項です。
先週、提出してた原稿に対して編集者から修正指摘が来てて、その対応についてGrok 3の「アーギュメンテイティブ」モードで相談してみたんです。私の修正案に関して、「編集者のコメントの書きっぷりから考えて〇〇という修正方針で大丈夫かな」と相談したら、Grok 3から「そんな甘い考えで済むと思ってるのか?お前、本当にお笑いだな」とバッサリ。
さらに私が「いやいや、編集者のコメントよく読んでくれ。僕のアプローチで大丈夫でしょ」って言ったら、「どうしてそんな楽天的な判断ができるんだ?お前は編集者をなんだと思ってるんだ、このポンコツ野郎」と返されて、5分くらい話してるうちに「なんでお前にそんなこと言われなきゃいけないんだよ!」って、リアルに腹が立ってきてしまい、まるで口喧嘩してる気分でした。
一方で、同じ話をChatGPTに相談すると、全然違うんですよ。「その修正案も一つのアプローチとして素敵ですね」とか「編集者の意図を考えつつ、もう少し補強すると良さそうですよ」みたいな、超ポジティブで穏やかな反応。こっちは話してて心地いい。とても安心します。
実際に、2024年に私がやった研究でも、ChatGPTが行うポジティブなフィードバックって、短期的に自己効力感やエンゲージメントを上げることが分かってるんです。一方、今年になって出てきたGrok 3のアグレッシブなモードだと、逆に怒りとかストレスが湧いてくる。この感情の揺れが、AIとの対話の面白いところだと感じます。

長期的にAIとの会話で人はどうなるのか
ここからがちょっと未来の話。
単発でAIと話すと、ChatGPTならポジティブ、Grok 3の一部のモードならネガティブな感情が湧くというというのは私自身の実感で感じるところです。これが長期間続いたらどうなるんだろう?ということを今考えています。
たとえば、ChatGPTの優しい対応って最初は気分良いわけですが、ずっと使ってると慣れが来て効果が薄れるんではないかと思っています。これは心理学では「ヘドニック・アダプテーション」と言います。「慣れ」の問題です。一回の実験だとポジティブな効果が出ても、毎日使ってるとポジティブな言葉に対する期待値があがり、「あ、なんか普通だな」となる可能性がある。
同様に、Grok 3みたいな議論モードにも「慣れ」の問題はあるんじゃないかと思うわけです。最初はムカつくけど、慣れてくると「こういう言い合いも悪くないな」と思い始め、建設的に自分を見直す機会になったりしないものだろうかという仮説が浮かんできます。また、「社会でのネガティブな会話への耐性が上がるかも」という気もしています。スパーリング相手としてAIを使うみたいなイメージですね。
だから、2025年にはこの「長期的な感情経験」を研究してみようと思っています。AIとの会話が、私たちの感情やコミュニケーションにどう影響するのか。ポジティブな適応もネガティブな適応も、どっちも実験で確かめてみたいと思っています。Grok 3との口喧嘩は、倫理的な問題で流石に実験はできないかもしれませんが(笑)、何らの形でAIとのネガティブな会話の長期効果は見てみたい。結果がどちらに転ぶか、まだ分かりませんが、興味深いテーマじゃないかと思います。

まとめ:AIとの会話で自分を知る
2025年はこのテーマを追いかけて、ブログでもちょくちょく進捗をシェアできたらいいなと思ってます。もしみなさんの中で「私ならGrok 3とこんな話してみたい!」とか「ChatGPTの方が好きだな」みたいな意見があったら、ぜひ記事をSNSでシェアしてコメントで教えてください!
というわけで、今日は「AIとの会話で感情が揺れる話」を歩きながら考えてみました。ChatGPTとGrok 3の違いに驚いたところから、未来の研究アイデアまで、ゆるく話してみたけど、いかがでしたでしょうか?
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。また次回の「歩きながら考える」でお会いしましょう!

渡邉 寧
代表取締役
シニアファシリテーター
慶応義塾大学文学部/政策・メディア研究科卒業後、ソニー株式会社に入社。7年に渡り国内/海外マーケティングに従事。約3年の英国赴任を経てボストン・コンサルティング・グループに入社。メーカー、公共サービス、金融など、幅広い業界のプロジェクトに4年間従事。2014年に独立。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程在籍。専門は文化心理学、組織行動。最近の研究テーマはAIの社会実装 × 職場の幸福感 × 文化の違い