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シロアリが食卓を救う? 江戸の「もったいない」に心揺れる話 – 歩きながら考える vol.41

2025.05.14 渡邉 寧
「歩きながら考える」

今日のテーマは、シロアリを家畜用「飼料」として活用する話について。このシリーズでは、筆者が街を歩きながら、日々の気付きや研究テーマについてのアイデアを語っていきます。ふとしたタイミングで浮かんだアイデアや、知的好奇心をくすぐる話題を平日(月~金)の毎朝ラジオ感覚でお届けしています。散歩中のちょっとした思いつきを、ぜひ一緒に味わってみてください。

こんにちは! 今日も駅に向かう道すがら、頭に浮かんだことをシェアしようと思います。もうすぐ電車に乗るんですけど、その前に、最近読んだ新聞記事から湧いてきたアイデアを話してみたい。テーマは、「シロアリ」。そう、家の柱をボロボロにするイメージのあるシロアリが、環境問題や食糧危機を解決するかもしれない話。最近、こういう話が気になって仕方ないんです。歩きながら、ゆるく考えてみます。

シロアリが「害虫」から「飼料」に大変身

きっかけは、2025年4月26日の日経新聞の記事。「生ゴミ、昆虫、家畜、エコ循環の中心は昆虫食」っていう見出しに、目が釘付けになりました。記事の内容は、生ごみや間伐材から昆虫を育てて、それをニワトリや魚の餌にする研究の話。で、その主役が、シロアリなんですよ。

京都大学の松浦健二教授のチームが、オオシロアリを養鶏のタンパク源として活用する研究を進めているということが伝えられていました。通常、養鶏の餌には魚粉が使われるけど、魚粉って海洋資源の枯渇が問題になってる。そんな中、シロアリを生ごみから育てて飼料にしたら、廃棄物を減らしつつ、持続可能なタンパク源になるという話。これ、めっちゃ意外じゃないですか? シロアリって「家を壊す敵」だと思ってたのに、食卓を支える味方になるなんて。

この発想の逆転が、なんか心を掴むんですよね。だって、普段ゴミ箱にポイって捨てる生ごみが、ニワトリの餌になって、卵や鶏肉になって戻ってくる。循環の賢さに、なんか良いなーと思う。みなさんも、ゴミを捨てながら「これ、なんか使えないかな」って思ったこと、ありません?

江戸の「もったいない」精神がシロアリと響き合う

で、なんでこの話にこんなに心惹かれるんだろう? って考えたら、日本の文化と関係してる気がしてきたんです。法政大学の田中優子教授が、江戸時代の「もったいない」精神について語ってる記事を読んだんですけど(「なぜ令和のいま「江戸」が再注目されるのか?ー江戸文化研究者・田中優子」)、これがめっちゃ面白い。江戸時代って、ゴミをゴミにしない知恵がすごかった。たとえば、古着は雑巾になって、雑巾は灰にして肥料に。また、人々のネットワークである「連」を通じて、知識は共有・流通し、循環の精神が根付いていた、と。

シロアリ飼料の研究って、まさにこの江戸の生活スタイルの現代版だと思うんです。生ごみや廃材を「ゴミ」じゃなく、食糧生産の資源に変えるなんて、江戸の人々が聞いたら「いい方法見つけたね!」って拍手しそう。日本の狭い国土で、限られた資源を賢く循環させてきた伝統が、2025年の環境問題にガッツリ貢献してるって、なんか誇らしいですよね。みなさんの地元にも、リサイクルや地産地消の取り組みってありません? そういう小さな循環にワクワクしてしまいます。

東アジアの「全体を見る思考」が共感を生む

このシロアリ飼料の話、なんでこんなに「ピンとくる」んだろうって、もっと深掘りしてみたら、文化心理学の話に行き着きました。リチャード・ニスベットという研究者が、東アジアの「包括的思考(Holistic Thinking)」と西洋の「分析的思考(Analytic Thinking)」の比較を提示しています。包括的思考では、背景情報と焦点があたっている対象の情報と、両方に注意を向ける傾向が強くなります。

オランダの社会心理学者・経営学者であるヘールト・ホフステードの文化次元理論の枠組みでいうと、「長期志向」と関係する話ですね。日本は長期志向のスコアが88で、中国(92)や韓国(100)と傾向を共有する。循環社会のような、社会全体を「回り回る」システムとして捉える見方は、文化的価値観との相性が良い。

たとえば、生ごみからシロアリ、シロアリから家畜、家畜からまた肥料や廃棄物、そしてまたシロアリ…って循環していくという、その全体像そのものに、なんか美しさすら感じませんか? 東アジアの私たちって、こういう「全体のバランス」を愛でる傾向がある気がする。みなさんも、環境にいい話や循環の話にグッとくること、ありません?

まとめ:シロアリから未来を考える

というわけで、シロアリ飼料から始まって、江戸の「もったいない」、東アジアの包括的思考まで、歩きながら考えてみました。この研究、環境問題や食糧危機を解決する一歩になるかもしれないし、日本の賢い循環の伝統を未来につなぐチャンスかもしれない。なんか、可能性しかない気がしません?

もしこの話が面白いと思ったら、ぜひSNSでシェアして、友達と話してみてくれると嬉しいです。僕も、このテーマ追いかけて、またブログでシェアできればと思っています。

電車に乗るんで、今日はこの辺で。最後まで読んでくれて、ありがとうございます。 また次回の「歩きながら考える」で会いましょう!

渡邉 寧

博士(人間・環境学)
代表取締役
シニアファシリテーター

慶応義塾大学文学部/政策・メディア研究科卒業後、ソニー株式会社に入社。7年に渡り国内/海外マーケティングに従事。約3年の英国赴任を経てボストン・コンサルティング・グループに入社。メーカー、公共サービス、金融など、幅広い業界のプロジェクトに4年間従事。2014年に独立。2025年に京都大学大学院人間・環境学研究科にて博士号取得。専門は文化心理学、組織行動。最近の研究テーマはAIの社会実装 × 職場の幸福感 × 文化の違い

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