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「歩きながら考える」

今日のテーマは「定年後の男性のライフスタイルシフト」について。このシリーズでは、筆者が街を歩きながら、日々の気付きや研究テーマについてのアイデアを語っていきます。ふとしたタイミングで浮かんだアイデアや、知的好奇心をくすぐる話題をラジオ感覚で平日(月~金)毎日お届けしています。

こんにちは! 今日も移動時間を使って、ちょっと考えごとをシェアしようと思います。実はもう家に着いてて、リビングをぶらぶらしながらこの話を録ってるんですけど、終わったらすぐ寝る予定なんで、手短にいきますね(笑)。テーマは、定年や役職定年を迎えた中高年男性の「これからどう生きる?」という話。2025年5月20日の毎日新聞の記事からヒントを得て、ホフステードの文化モデルを使って考えてたら、色々と考えるところがあり。特に、北欧の価値観を学ぶ「ショック療法」が、人生の第2章を始める鍵になるんじゃないかって話、ゆるく聞いてください!

肩書きがなくなると、男って途方に暮れる?

きっかけは、2025年5月20日の毎日新聞の記事(「どう向き合う 肩書きのない自分」)。定年や役職定年で肩書きを失った中高年男性が、アイデンティティクライシスに陥ってメンタルが揺らぐ話なんですけど、そこで出てきたエピソードが結構もの悲しくて。シルバー人材センターで、元サラリーマンのおじさんたちが「俺は部長だった」「俺は課長だった」って過去の肩書きを競い合ってる場面があると。

この話、確かにありそうだけど、なんだかなーと思ったんですよね。健康社会学者の河合薫さんのコメントで、「一つの会社に長く勤めるほど、肩書きがアイデンティティになる」とあって、なるほどなと。定年って、肩書きが消えるだけでなく、毎日の会議や同僚とのランチみたいなルーティンも全部なくなる日。だから、急にこれまでのコミュニケーションのパターンが無くなり、「あれ、どうすれば良いんだ?」って途方に暮れる男性がたくさんいるんだろうなって、想像できるんです。

で、ちょっと自分の周りを見ても、女性に比べると男性って社会的に孤立しがちですよね。友達少ないし、趣味のコミュニティとかもあんまりない。女性は子育てや家事で多様な社会ネットワークを形成しているけど、男性は職業キャリアに依存しすぎてる。じゃあ、この「途方に暮れる」問題、どうやって解決すればいいんでしょうか?ここで、ホフステードの6次元モデルを手がかりに考えてみました。

日本の会社文化が心をガチガチに?

ホフステードの6次元モデルは、国の文化を6つの価値観の次元で分析するフレームワークなんですけど、これが今回の話にヒントをくれるんじゃないかと思います。日本企業で長く働く男性の心が、どんな価値観に染まってるか、ちょっと分解してみると:

  • 権力格差(高): 出世するほど部下が増えて、上下関係に慣れる。上司や年長者として扱われるコミュニケーションが当たり前に。
  • 集団主義: 会社が内集団なので、集団内の調和を保つ為に察し合い文化が色濃くなる。結果として、個人としての意見をはっきり言う機会が限定的に。
  • 男性性: 競争に勝つ、出世する、成功するという価値観が強い。日本の文化自体、男性性が強い。
  • 不確実性回避(高): 報告書や細かいルールが多くて、ミスを避ける仕事のやり方に慣れる。
  • 長期志向: 終身雇用で長く勤めるのが前提。
  • 抑制的: 真面目にコツコツが美徳。

最近は多少変わってきたかもしれませんが、日本の会社だとこんな感じじゃないでしょうか。特に男性で、結婚や子育てでキャリアが途切れずにガッツリ働いてきた人は、この価値観に長い年月をかけて適応してるんじゃないかと思います。で、問題は、定年や役職定年で会社を去ると、この価値観ではない生活になる可能性が高いこと。肩書きなし、集団なし、競争なし、ルールなしの世界。突然こんなに環境が変わったら、「え、どうコミュニケーションを取れば?」となるのは想像に難くないです。

で、この型から抜け出すには、どうしたらいいか? ここで、僕の頭に浮かんだのが、北欧なんです。

北欧の価値観でショック療法を!

会社の外側の社会は、会社文化と真逆の価値観が必要なんではないかと思うんです。会社のような内集団ではないので、もっとフラットで、個人主義的で、競争より調和を大事にする世界。ホフステードのモデルで考えると、こんな感じ:

  • 権力格差(低): 会社じゃないので上下関係は無い。
  • 個人主義: 自分の興味や強みで仲間を作る。自分も周りの他者も主役。
  • 女性性: 勝つことより、ソーシャルキャピタル(信頼やつながり)が重要に。
  • 不確実性回避(低): 細かいルールよりもリラックスしたコミュニケーション。

この文化パターン、どこかで見たことあるなと思ったら、ノルウェーやスウェーデン、デンマーク、オランダとかの北欧の文化(ネットワーク)で見られるものでした。 北欧は、幸福度ランキングで上位の国が多く、ワークライフバランスや平等性が特徴的と日本でも注目している人が多いと思います。そこで、思ったんです。日本の会社文化にガチガチに適応しちゃった中高年男性が、「真逆の価値観」を学ぶとしたら、北欧の文化に浸るというのは効果があるんじゃなかろうか、と。

ちょっと大胆なショック療法(笑)。でも、日本って不確実性回避が高い文化だから、具体的なお手本を見ると「なるほど、こうやればいいんだ!」って腑に落ちるという面があります。だから、北欧の社会生活やコミュニケーションを、実際に現地で体感してみる。地元の人と話したり、カフェでリラックスした雰囲気を感じたり、フラットな人間関係を見てみる。そういう経験が、定年後の新しいライフスタイルのヒントになるんじゃないかと思います。

まとめ:北欧で自分をリセット

このアイデア、ちょっと魅力的じゃないですか? 例えば、定年後にノルウェーの小さな町で数週間過ごして、地元のコミュニティイベントに参加してみるとか。スウェーデンのカフェで、知らない人と気軽に話してみるとか。日本の会社じゃ考えられない、ゆるくて対等な人間関係に触れることで、「あ、こういう生き方もありだな」って心がほぐれる気がするんです。

僕自身も、ちょっと試してみたいなって思ってます。もし確かに効果がありそうだったら、また、ブログでシェアしたいと思います。

というわけで、今日は定年後のアイデンティティクライシスから、北欧の価値観を学ぶショック療法まで考えてみました。もしこの話が面白いと思ったら、ぜひSNSでシェアしてくれると嬉しいです。最後まで読んでくれて、ありがとうございます。また、次の「歩きながら考える」シリーズでお会いしましょう!

渡邉 寧

博士(人間・環境学)
代表取締役
シニアファシリテーター

慶応義塾大学文学部/政策・メディア研究科卒業後、ソニー株式会社に入社。7年に渡り国内/海外マーケティングに従事。約3年の英国赴任を経てボストン・コンサルティング・グループに入社。メーカー、公共サービス、金融など、幅広い業界のプロジェクトに4年間従事。2014年に独立。2025年に京都大学大学院人間・環境学研究科にて博士号取得。専門は文化心理学、組織行動。最近の研究テーマはAIの社会実装 × 職場の幸福感 × 文化の違い

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