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東京オリンピック・パラリンピックまで975日、インバウンド対策は大丈夫?

2017.11.16 廣崎 淳一

 左から 宮森、渡辺、広崎、ホフステード夫妻、水野(後ろ)、間瀬

「文化と経営の父」との対談~東京オリンピック・パラリンピックへ向けて

東京オリンピック・パラリンピックまでいよいよ1000日を切り、オリンピック・パラリンピックへの関心がますます高まる中、ホフステード・インサイツ・ジャパン株式会社の宮森、水野、渡辺、間瀬および広崎の5名が異文化マネジメント研究の第一人者であり、6次元モデルで各国の国民文化を比較するツールを開発したホフステード博士をオランダの自宅に訪ねました。 そこでは、3年後に迫った東京オリンピック・パラリンピックで多くのインバウンド旅行者が見込まれるなか、受け入れ側の日本ではどのようにもてなすべきか興味の尽きない話し合いを行いました。

ホフステード博士はIBMに勤務していた1960年代後半から70年代にかけて、グローバルに行われる社員向け調査の結果が国ごとに特定の傾向を示すことに着目し、「権力格差」、「集団主義/個人主義」、「女性文化/男性文化」、「不確実性の回避度」からなる4つの次元を発見し、のちに「短期/長期思考」および「人生の楽しみ方」を併せた6つの次元からなる国民文化を比較するツールを開発しました。このモデルはグローバルにビジネスを展開する多くの企業で取り入れられ、組織開発や経営課題の解決など異文化マネジメントに役立てられています。

おもてなしは当たり前ではない?

ちなみに日本の国民文化の特徴は、「男性文化」と「不確実性の回避」がとても強いのが特徴です。不確実なことが発生するのを排するために細かいルールを決め、そのルールに沿って行動することを家庭や学校、新人教育で教え込み、その枠の中で行動することが求められます。それは電車の乗り降りのルールや、会議のために使わないかもしれない数十ページの資料を準備することなどからも窺い知ることができます。

オリンピック・パラリンピックでは世界中から日本とは違う国民文化をもったゲストが来日しますが、その中には我々日本人の多くが当たり前のように期待する痒い所に手が届くおもてなしを求める人々がいる一方で、もっと自由に冒険を楽しませてほしいと思う人々も少なからずいるでしょう。つまり我々の当たり前は、彼等・彼女たちにとっては決して当たり前ではないのです。そんな多様なゲストを迎えるわれわれはどのようにゲストに対応すればよいのでしょうか?

「不確実性の回避」をどう乗り越えるか

ホフステード博士は日本の国民文化の特徴の中でも「不確実性の回避」をどう乗り越えるかがカギになるだろうと指摘しています。具体的には日本人が求めるような手厚いおもてなしを画一的に行うのではなく、ゲストにどのようなサービスを好むのかを選択してもらうことが有効です。手厚いサービスか、簡素なサービスか、やりとりは距離を置いたもの、あるいは緊密なものがいいのか、などです。しかし、いきなりこうした対応をすることは難しいものです。そこで、世界の多様な国民文化を学ぶことで好まれるサービスや関わり方を事前に準備することが可能になります。

ぜひホフステードの6次元モデルを学び、オリンピック・パラリンピックで世界中から訪れるゲストとの関りを積極的に楽しんでみませんか? そして、日本が世界に向けて開かれた国であることを印象付けましょう!

 


廣崎 淳一

シニアファシリテーター

モトローラ勤務後、アクセンチュアでITコンサルティング、シスコシステムズで日本及び東南アジア担当CIO(情報担当役員)、マイクロソフトで情報システム統括などを歴任。多くのグローバルプロジェクトや、グローバル組織をリードするかたわら、文化が持つインパクトを身をもって体験した。組織の成功のためにダイバーシティとインクルージョン(D&I)の重要性に気づき、以降は、シスコとマイクロソフトにてD&I活動のスポンサーを務める。また、働き方改革についても、シスコとマイクロソフトでの体験を通じ、多くの講演経験を持つ。現在は次世代リーダーの育成と組織開発に力をいれ、スピーカー、ファシリテーターやコーチとしてクライアントの成長をサポートしている。テンプル大学経営学修士(Executive MBA)。
2019年11月から代表取締役

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