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異文化理解のフレームワーク「ホフステードの6次元モデル」(5)今すぐ結果を求めるのか、先を見据えて投資するのか:短期志向/長期志向

2020.03.04 宮森 千嘉子

異文化理解のフレームワーク「ホフステードの6次元モデル」(5) LTO

異文化理解のフレームワーク
「ホフステードの6次元モデル」

Vol.5
今すぐ結果を求めるのか、
先を見据えて投資するのか :
短期志向/長期志向

文化の次元とは、他の文化と比較したときに相対的にとらえることができるもの。
ホフステードは、ある国で生まれ育った人々の物事の選好が、国ごとにどう異なるかを6つの次元(切り口)に体系化し、目で見ることのできない文化的価値観の違いを説明します。

かつて日本企業は、当面の利益を犠牲にしても、長期的な成功を見据えてビジネスを展開することで知られ、四半期の結果を求められる米国経営の考え方とは、この次元が原因で対立していました。これを説明するのが、短期志向VS長期志向の次元です。

長期志向は、現実性や実用的な視点から将来を志向し、短期志向は規範や短期的視点で現在を大切にします。

世界のスコア 短期志向/長期志向

長期志向

長期志向の社会では、将来成功するために教育に投資し、他の国から学ぶ姿勢があります。仕事はハードに勤勉、たとえ結果が出るのに時間がかかっても、粘り強く、辛抱強く努力します。簡単にはあきらめない、不屈の精神。これは、Gritの大切な要素であり、ビジネスを成功させる上でも必要な要素。企業内留保は、将来に向けての種まきとして投資されます。
長期視点で考えるため、何が正しく、何が悪いのかは時と場合、状況によって異なり、真実は一つではないという考え方をします。

長期志向の高い日本、韓国、シンガポール、香港、台湾、は第二次大戦後から急速な経済成長を経験しています。冷戦後には東欧の国々が経済の自由化を行ってきました。

1978年に改革開放路線にかじを切った中国は、目覚ましい発展を遂げています。自動車産業の発展を目指した中国に、1985年、外資の先陣として手を差し伸べたのはドイツのフォルクスワーゲンでした。以来、中国とドイツはビジネスパートナーシップを積み上げ,ドイツ政府のデータによれば両国の取引額はおよそ1,866億ユーロ(2,300米ドル)に及び、2016年、中国はドイツにとって最大の貿易相手国*1となりました。ドイツ貿易・投資振興機関(GTAI)とドイツ商工会議所連合会(DIHK)は、中国の提唱する巨大経済圏構想「一帯一路」がドイツ企業に巨大な商機をもたらしたとの見方を示しています。

中国の習主席と、ロシアプーチン大統領の相互訪問も頻繁かつ緊密で、ロシアが主導するユーラシア経済連合と「一帯一路」との連携を積極的に推進しています。
いずれも長期志向の国で、未来志向の価値で経済成長に結びつけようとしていることを示しています。

*1https://www.dw.com/en/germany-and-china-trade-partners-and-competitors/a-43901890

長期志向の国の特徴
  • 資源を節約して倹約を心がけます。
  • 結果が出るまで辛抱強く努力します。
  • 余暇を重視しません。
  • 市場での地位に焦点が置かれ、将来の成長・利益を重視します。
  • 自己を大きな全体の中の一部であると考えるので、思考が統合的で、全体像を把握してからポイントに向かいます。
長期志向の国

韓国、台湾、日本、中国、シンガポール、ドイツ、ベルギー、スイスなど。

短期志向

短期志向の社会では、努力はすぐ結果に結びつかなくてはいけないと考えます。
自国へのプライドがあると同時に、何が善で何が悪かの普遍的な指針があり、真実はたった一つと考えます。

冷戦後の「グローバル・スタンダード」の経済体制を作った米国は短期志向です。
FCLTグローバルサーベイ*2によると、経営陣の87%が2年以内に高い財務業績を挙げなければいけないという心理的プレッシャーを感じており、四半期ターゲットを達成できないというリスクを避けるために、コスト削減策を執る経営者は61%。たとえ将来の企業価値を損ねることになったとしても、計画されていたプロジェクトをホールドする経営者も47%に上ります。短期の業績達成が米国の経営者に与えるプレッシャーは、過去5年間でかなり強くなっているようです。マッキンゼー・グローバル・インスティテュート (GMI) が行った調査では、米国でもアマゾン、ユニリーバ、AT&Tなど、長期志向を実践する企業の方が2月8日、企業の短期志向と長期志向がもたらす企業の方が売上、利益、経済利益 (EVA)、時価総額の全ての面において上回りました*3。米国でも、あまりに四半期の業績に拘泥することの弊害が指摘されはじめています。

*2Barton, Bailey, Zoffer: Rising to the challenge of short-termism, FCLT Global, 2016

*3Mckinsey Global Institute, Measuring the Economic Impact of Short-termism, 2017

短期志向の国の特徴
  • 消費をすることへの圧力が強い社会
  • 努力はすぐに結果に結びつくためにします。
  • 余暇は重要です。
  • 最終損益に焦点が置かれ、四半期・当年の利益を重視します。
  • 自己を単一の自由な主体として考えるので、思考が分析的で、まずポイントを理解します。
短期志向の国

中東諸国、アフリカ諸国、中南米諸国、オーストラリア、アイルランド、米国、オニュージーランド、ノルウェー、デンマークなど。

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WRITER

宮森 千嘉子

Hofstede Insights Japan
ファウンダー
取締役
マスターファシリテーター

サントリー広報部勤務後、HP、GEの日本法人で社内外に対するコミュニケーションとパブリック・アフェアーズを統括し、組織文化の持つビジネスへのインパクトを熟知する。また50 カ国を超える国籍のメンバーとプロジェクトを推進する中で、多様性のあるチームの持つポテンシャルと難しさを痛感。「組織と文化」を生涯のテーマとし、企業、教育機関の支援に取り組んでいる。英国、スペインを経て、現在米国イリノイ州シカゴ市在住。異文化適応力診断(IRC) , CQ(Cultural Intelligence) , GCI (Global Competencies Inventory), 及びImmunity to Change (ITC) 認定ファシリテータ、MPF社認定グローバル教育教材<文化の世界地図>(TM)インストラクター、地球村認定講師、デール・カーネギートレーナーコース終了。共著に「個を活かすダイバーシティ戦略」(ファーストプレス)がある。青山学院大学文学部フランス文学科、英国 アシュリッシビジネススクール(MBA)卒。

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