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デンマークの文化に見る幸福感 vol.12 – オーガニックとベジタリアン

2023.03.30 祖父江 玲奈
オーガニックとベジタリアン

デンマークの文化に見る幸福感
vol.12
オーガニックとベジタリアン

世界幸福度ランキング上位3位内の常連であり、ここ10年で1位に4回もなっているデンマーク。ホフステードの6次元モデルで見ると、女性性が高く、個人主義という特徴があります。

幸福感を感じるデンマークの文化を紐解いていきたいと思います。


デンマークの料理と食事にまつわる文化を体験する、という目的で始まった、2ヶ月の冒険。

ご縁あって、友人の親戚がお仕事されているフォルケホイスコーレのキッチンにお手伝いとして入れていただけることになりました。

今回は、スカルス手工芸学校の食堂で提供していた、オーガニックな食事とベジタリアンメニューについてご紹介していきます。

オーガニック認証を持つキッチン

デンマークは国を挙げてオーガニックを推進しており、オーガニックに対応しているキッチン(レストランやホテルなど)を国で認証しています。
Det Økogisk Spisemærke(オコローイスク・スピースメアケ)はオーガニックに真剣に取り組んでいることを示す国が保証するラベルです。 ラベルは無料で、メニュー全体の準備に使用される材料と飲料の合計に対して、オーガニックの割合をパーセンテージで表示するものです。
オーガニック認証を取得しているレストランやホテルは公開されていて、その土地でオーガニックの料理を食べたいと思えば、検索することができます。

https://www.oekologisk-spisemaerke.dk/spisesteder/

スカルス手工芸学校の食堂ではオーガニック認証シルバーをとっていました。
業務用キッチンであれば、レストランのように一般に公開されているわけでなくとも、認証を取得できるんです。

Det Økologisk Spisemærkeのシルバーラベル。キッチンに掲げられていました
Det Økologisk Spisemærkeのシルバーラベル。キッチンに掲げられていました

オーガニック認証のシルバーでは、仕入れる食材・飲料の60〜90%がオーガニック食材である必要があります。

そのため、食材の注文サイトでは、その時にカートに入っている食材は何%がオーガニック食材です、という表示が常に出ています。オーガニック推進している国だからこそ、オーガニックを買いやすく、選びやすい仕組みになっているなと思います。基準が明確で、その基準に従いやすい仕組み。

ただ、予定していたメニューで使いたい食材でオーガニックのものが売切のこともあったり、値段がすごく高かったりすることも。食材を変える、予算内に収める、というためにはメニューを変えたり、考え直さないといけないことも多々ありました。

庭のリンゴとオーガニック認証

ある時、キッチンで話していたとき、庭のリンゴ美味しそうだよねー!という話になりました。

道の両側にあるのがリンゴの木。白く点々とリンゴが見えます
道の両側にあるのがリンゴの木。白く点々とリンゴが見えます

小さい木ですがリンゴがたくさんなっています。デンマークのリンゴは日本のものより小さく、酸味が強いものが多いですが、こちらは生食でも食べられる酸っぱさ。そのままダメにしてしまうのはもったいないし、おやつに出す?サラダに入れる?ケーキを焼く?という話になったのですが、スタッフ2人はかなり迷っていて、使いたいと言いながらも、うんと言いません。

疑問に思って聞いてみると、、、

実は、オーガニック認証には監査があるのです。
年2回程度、抜き打ちで監査に来ます。監査が来た日は、監査官が1日滞在して、当日メニューの食材を全てチェックされるということ。(監査対応で1名スタッフが張り付きで対応しなければならないので、すごく大変という話でした)

まったく農薬もかけていない、自然の庭のリンゴで、採りたてですが、、、
オーガニック認証をとっているわけではないので、、、
今日監査が来ちゃったら、かなり割合が下がっちゃうけど大丈夫かな、という心配があったのです。

結果としては、ちょっと出しました(他のおやつにも)
結果としては、ちょっと出しました(他のおやつにも)

オーガニック認証自体は大変良いことだと思いますし、食材購入の仕組みでもサポートされていることで、認証を維持しやすい側面もあります。ただ、それだと必ずオーガニック認証が保証されている業者から買わなければならないため、食材の選択肢が狭くなることもあるのだな、と実感しました。(レストランなどで使われる狩猟された肉や海釣りの魚などは対象外になってるんですけどね)

ベジタリアンという選択肢

寄宿生活の料理を作る上で、思ったより大変だったのは、アレルギーやベジタリアンの対応でした。グルテン(小麦)、ナッツなどのアレルギー、そしてベジタリアンやヴィーガンの人も。デンマークは牛肉や豚肉が多い食事だったので、環境問題を考えたアクションとして、ベジタリアンやヴィーガンになる人が大変増えています。
野菜料理の本などの出版も相次いでいて、デンマークでの関心は近年ますます高まっています。

スカルス手工芸学校の食堂では、分けてメニューを作るのも大変なので、アレルギーの材料をはずしたり、ベジタリアンなメニューを全員向けに用意できれば、そういう対応もしていました。

豆とチーズで作ったFrikadellerミートボール
豆とチーズで作ったFrikadellerミートボール

グルテンフリーのパンを用意したり、ヴィーガン仕様のケーキを焼いたり。

ヴィーガンのチョコレートケーキ
ヴィーガンのチョコレートケーキ

美味しければみんながヴィーガンでもいいよね、という発想で、この日のおやつは全員ヴィーガンのチョコレートケーキ!実はヴィーガンにするための材料が、とってもしっとりとした味を出してくれるので、美味。

ただ難しいのは、メニューを考える上で常にヴィーガンやベジタリアンの選択肢があるわけではない、ということ。お肉を食べたい人がいる、というのもありますが、大人数に向けた量を作る上で十分な食事量やバラエティが確保できなかったり、金額が高くなったりすると、なかなか全員分を合わせてということになりにくい。ベジタリアンやヴィーガンの場合はナッツなどでコクを出すメニューが多く、ナッツアレルギーの人がいると大変難しくなります。

一緒に作るのが難しいと個別対応になるため、グルテンフリーのパンは冷凍しておいたものを使ったり、ヴィーガンのメニュー数が少なく見た目も寂しいものになってしまうこともあります。「美味しくない」「また同じものが出ている」となると、苦しいところ。

美味しく充実したご飯を食べてもらいたい!デンマークでも多くの野菜料理が開発されつつありますが、ベジタリアンやヴィーガン、アレルギーへの美味しいメニューの開発は、今後世界で増やしていくべきところですね。


祖父江 玲奈

ファシリテーター

中央大学総合政策学部卒業。アクセンチュアにて、組織戦略、組織設計、人材開発戦略を中心とするコンサルティング業務に従事。多くのインターナショナルプロジェクトに参画する。その後、日産自動車株式会社にて、女性のお客様をターゲットとした商品開発を担当。グローバル共通/地域固有でのお客様調査、また男女差の科学的分析に基づいて多くの提案を行い、商品を実現した。商品開発でのアイディア創出プロセスにおいて、論理的・俯瞰的視点による多面的分析力、また画像/ビジュアルイメージやプロトタイプを通じた複合的な情報収集(キュレーション)のプロセスが、新しい商品像を生み出すために非常に重要であることを発見。イノベーションを生み出すアイディア創出方法を構築中。
青山学院大学ワークショップデザイナー講座 修了。デンマークデザインスクール KaosPilot Creative Leadership course 修了。シータヒーリング認定インストラクター/プラクティショナー

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