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異文化理解のフレームワーク「ホフステードの6次元モデル」(2)アイデンティティ:集団主義/個人主義

2019.10.08 宮森 千嘉子

異文化理解のフレームワーク「ホフステードの6次元モデル」(2) IDV

異文化理解のフレームワーク
「ホフステードの6次元モデル」

Vol.2
アイデンティティ : 集団主義/個人主義

文化の次元とは、他の文化と比較したときに相対的にとらえることができるもの。
ホフステードは、ある国で生まれ育った人々の物事の選好が、国ごとにどう異なるかを6つの次元(切り口)に体系化し、目で見ることのできない文化的価値観の違いを説明します。

自分は何者か?という質問にどう答えますか?個人主義の社会では、自分を本質的に「個人」とみなします。集団主義の社会では、自分を「集団の一部」とみなします。

しかし実態はそんなに単純なものでもありません。
ホフステードは、内集団の利害が個人の利害よりも優先される社会を「集団主義社会」、個人の利害が内集団の利害よりも優先される社会を「個人主義社会」と呼びながら、それぞれの社会の特徴を以下のように定義しました。

「集団主義を特徴とする社会では、人は生まれた時からメンバー同士の結びつきの強い内集団に統合されている。内集団に忠誠を誓う限り、人はその集団から生涯に渡って保護される。」

「個人主義を特徴とする社会では、個人と個人の結びつきはゆるやかである。人はそれぞれ、自分自身と肉親の面倒を見ればよい。」

このように、「個人」と「集団」の役割をどのようにバランスさせるのかという問いは、人間社会において根源的な課題であり、その影響力も計り知れないと考えられています。

日本は、自分たちを集団主義と思い込みがちですが、それはアングロサクソン諸国、北欧諸国、ドイツ、フランスと比較してのこと。この次元のスコアも、権力格差に続いて世界の中で真ん中です。中国、東南アジア、中東、中南米諸国と比較するとかなり個人主義の強い国です。

世界のスコア 集団主義/個人主義

集団主義の強い国

人が生まれて最初に出会う集団は家族です。集団主義の国ではたいていの場合、子供達は両親と兄弟だけでなく、祖父母、親戚、同居人などに囲まれ、拡大家族の中で育ちます。この繋がりは内集団と呼ばれ、生まれた時から定められています。忠誠を誓う所属グループは、自分の意思で選ぶことができないのです。子供達は成長するにつれて、自分が「内集団の一員である」という意識を持つようになり、内集団の「外」に対しては、排外的な態度を持ちます。ISISはスンニ派で、シーア派の兵士を虐殺したと豪語していますが、同じイスラム教信者の中でひどく憎み合い、虐殺が起こるのも、宗派によって異なる内集団を形成しているからです。

人生で最初に出会う「集団」との関係は、コミュニケーション手法に大きな影響を与えます。集団主義では、内集団の中の調和を保ち、対立は避けなければなりません。相手の顔、面子を潰さないよう、話し手の顔色を伺い、意図をおしはかることが大切なので、結果として間接的なコミュニケーションが主流になるわけです。この場合、コミュニケーションが成り立つかどうかの責任は、聞き手にあります。

集団主義の国の特徴
  • 人は内集団の中に生まれて、その集団に忠誠を誓う限り保護されます。
  • 子供は「私たちは」という視点から物事を考えることを学びます。
  • 内集団と外集団では、価値観の基準が異なります。排外主義的
  • 内集団の中では常に調和が保たれ、直接対決は忌避される。
  • 不法行為を起こすことは、本人と内集団にとって恥であり、面子を失うことです。
  • 資産は親族と共有します。
  • コミュニケーションはコンテクスト(状況)に左右されやすい。
集団主義の国

中国、東南アジア諸国、中東諸国、中南米諸国、ロシア、ポルトガルなど。

個人主義の国

個人主義の国では、子供達は両親、あるいはシングルペアレンツの下、親と兄弟で構成される核家族の中で育ちます。親戚に会うのは年に数えるほど。子供達は「私」という視点から物事をとらえるようになります。

個人主義では、自分の心の内を語ること、感じていることについて真実を語るのが誠実かつ正直な人間の特徴と言われ、意見の衝突はさらに高次な実りある結果をつながると考えられるため対立を避ける必要はありません。結果として、明白で直接的なコミュニケーションが行われ、コミュニケーションが成り立つかどうかの責任は話し手にあります。

個人主義の国の特徴
  • 成人すれば、自分と身近な核家族だけの面倒を見れば良い。
  • 子供は「私は」という視点から物事を考えることを学びます。
  • すべての人に対して同じ価値観が適用されます。普遍主義的
  • 自分の心の内を語る人こそ、誠実な人です。
  • 不法行為を起こすことは、罪の意識を掻き立て、自尊心を傷つけることです。
  • 所有権は個人のものであり、子供とも共有しません。
  • コミュニケーションはコンテクスト(状況)に左右されにくい。
個人主義の国

アングロサクソン諸国(英国、ニュージーランド、カナダ、米国)、北欧諸国、ドイツ、フランスなど。

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WRITER

宮森 千嘉子

Hofstede Insights Japan
ファウンダー
取締役
マスターファシリテーター

サントリー広報部勤務後、HP、GEの日本法人で社内外に対するコミュニケーションとパブリック・アフェアーズを統括し、組織文化の持つビジネスへのインパクトを熟知する。また50 カ国を超える国籍のメンバーとプロジェクトを推進する中で、多様性のあるチームの持つポテンシャルと難しさを痛感。「組織と文化」を生涯のテーマとし、企業、教育機関の支援に取り組んでいる。英国、スペインを経て、現在米国イリノイ州シカゴ市在住。異文化適応力診断(IRC) , CQ(Cultural Intelligence) , GCI (Global Competencies Inventory), 及びImmunity to Change (ITC) 認定ファシリテータ、MPF社認定グローバル教育教材<文化の世界地図>(TM)インストラクター、地球村認定講師、デール・カーネギートレーナーコース終了。共著に「個を活かすダイバーシティ戦略」(ファーストプレス)がある。青山学院大学文学部フランス文学科、英国 アシュリッシビジネススクール(MBA)卒。

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