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デンマークの文化に見る幸福感 vol.1 – 仕事場でのヒュッゲ

2022.09.19 祖父江 玲奈
仕事場でのヒュッゲ
レストランサービスのリーダー。
コーヒーいるかい?といつも聞いてくれました

デンマークの文化に見る幸福感
vol.1
仕事場でのヒュッゲ

世界幸福度ランキング上位3位内の常連であり、ここ10年で1位に4回もなっているデンマーク。ホフステードの6次元モデルで見ると、女性性が高く、個人主義という特徴があります。

幸福感を感じるデンマークの文化を紐解いていきたいと思います。


デンマークにはKaffepause(カーフパウゼ)という習慣があります。直訳ではコーヒーブレイクという意味です。

日本でヒュッゲといえば、友人とのんびりお茶しながら過ごす時間など、オフタイムの過ごし方としてのイメージが強いのではないかと思いますが、実は、Kaffepauseの習慣によって、デンマークには仕事場やワークスタイルとしてのヒュッゲもあるのです。

今回は、デンマークのレストランホテルであるKro(クロ)にお手伝いとして滞在しているときに見つけた、仕事場でのヒュッゲな時間についてご紹介したいと思います。

赤い屋根とサンルームまでお客様エリア。ヒュッゲエリアの机と椅子
向かって左側が庭、赤い屋根とサンルームまでお客様エリア。車のすぐ横、生け垣の裏に、ヒュッゲエリアの机と椅子

仕事場のヒュッゲ:Kaffepause

レストランのお昼の始業前、みんながレストランのバーエリアに徐々に集まります。前日のお客様はもう出発していて、まだレストランにはお客様のこない時間。朝からいるスタッフもまだ残っている時間。そのタイミングに、バーにみんな顔を出します。

コーヒーある?まだ?
そんな会話で、誰ともなくみんなで飲むためにコーヒーを淹れて。

Kaffepause(カーフパウゼ)直訳ではコーヒーブレイク

私はデンマーク語もあまりわからなかったし、最初は打ち合わせかと思っていたのです。みんな笑ったり出入りしたり、バラバラに参加しているみたいだし、何をしているんだろう、と疑問でした。そうしたら「コーヒー飲まない?」と声をかけられました。恐る恐る参加してみたら、みんなで過ごす、のんびりとした時間だったんです。

新しいパーティの予約の話とか、レストランのスタッフにパーティーのシフトを頼んだりもしていましたが、、、ミーティングではないので、なんとなくスタッフが集まって、みんなでおしゃべりしてるだけ。
大体はどこに休暇に行きたいとか、美味しいレストランの話とか、以前のスタッフの近況・噂話とか、そんな他愛もない、雑談の時間でした。

これが、日本で言う飲みニュケーション的な感じなんです。勤務時間がバラバラなレストランやホテルのメンバーたちが集まる、雑談時間。みんなのんびりとしていて、ちょっと愚痴を言ったりもしているけど、深刻な話もしてないし、なんとなくだらっと、ゆったりとしていて。気楽な空気。

メンバーが集まって、コーヒーを一緒に飲む。Kaffepauseは直訳でコーヒーブレイクという意味ですが、ここではみんなで一緒に過ごして、おしゃべりすることに意味がある。
みんなが仲間として、今のお互いの状態とか仕事の状況とか、なんとなく空気をシェアして。仲間がいる、という空気を感じて、さあ、1日頑張るか〜みたいな感じでした。

仲間がいる、という空気を感じて、さあ、1日頑張るか〜
仲間がいる、という空気を感じて、さあ、1日頑張るか〜

キッチンスタッフのKaffepause

キッチンのスタッフは昼前から入ります。お昼にパーティが入っている週末以外は、キッチンではお昼後の時間にケーキなどのお茶菓子を焼きます。ディナータイムに向けた仕込みがひと段落すると、コーヒーを1杯とって、ソーサーにケーキの端っことかを一口乗っけて、キッチンの裏口へ。材料の搬入などをする裏口のすぐ外に、ガーデンチェアとテーブルがおいてありました。

そこは駐車場に近く、お客様から見えるといえ明らかに裏口、というところ。ホテルの庭のすぐ横なので、木もあって広い空の下です。

シェフはいるけど、ホテルのマネジメントのスタッフは来ないところ。ちょっと困ってることの相談やら、噂話。
キッチンのスタッフは、シェフとして修行中だったり、調理師学校に通っていたりします。どこに就職すべきか進路を相談したり、前にいたメンバーの近況を聞いたり。

ディナーの時間になると、キッチンは忙しくなります。パーティーの時は戦場のようになるし、あまりお客様がいない日でも、離れることはできません。そのキッチンの忙しさを前に、みんなで一息。
休憩ではあるのですが、どちらかというと「休息をとって準備する」という感じ。日本で思うよりは長めだし、ゆっくりしている感じ。キッチンスタッフたちならではのヒュッゲの時間でした。

キッチンの忙しさを前に、みんなで一息
キッチンの忙しさを前に、みんなで一息

休憩の大切さ

そんなことの全てを観察していると、一日中学べることがあって面白い!私はソースを作ったり、ケーキ焼いたりは直接はできないことが多かったので、レシピを教えてもらって、少し作るのを手伝って感触を学んだり、途中で試食したり。
そんなことがあると、面白くてなかなか一日が終われない。私は朝6時前からキッチンに入ってお手伝いしていたので、休憩を入れて基本はお昼過ぎ、14時まで。それなのになかなかキッチンから出ていかないので、シェフのLotteから、仕事は14時で終わったでしょ!帰りなさい!とお母さんのように怒られて、追い出されていました 笑

シェフのLotteと
シェフのLotteと

ついつい、できることを詰め込んでしまいがち。
2週間しかない、できる限り、吸収したい!そんなふうに思いがち。

ちゃんと息抜きをして、他のことをする時間も楽しむ。
毎日の体調とかを見て、その時できることを楽しむ。

Lotteには、休息とヒュッゲの大切さを教えてもらいました。


祖父江 玲奈

ファシリテーター

中央大学総合政策学部卒業。アクセンチュアにて、組織戦略、組織設計、人材開発戦略を中心とするコンサルティング業務に従事。多くのインターナショナルプロジェクトに参画する。その後、日産自動車株式会社にて、女性のお客様をターゲットとした商品開発を担当。グローバル共通/地域固有でのお客様調査、また男女差の科学的分析に基づいて多くの提案を行い、商品を実現した。商品開発でのアイディア創出プロセスにおいて、論理的・俯瞰的視点による多面的分析力、また画像/ビジュアルイメージやプロトタイプを通じた複合的な情報収集(キュレーション)のプロセスが、新しい商品像を生み出すために非常に重要であることを発見。イノベーションを生み出すアイディア創出方法を構築中。
青山学院大学ワークショップデザイナー講座 修了。デンマークデザインスクール KaosPilot Creative Leadership course 修了。シータヒーリング認定インストラクター/プラクティショナー

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