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デンマークの文化に見る幸福感 vol.16 – 幸せの国 デンマークのミニ成人式(3)
デンマークの文化に見る幸福感
vol.16幸せの国 デンマークのミニ成人式(3)
世界幸福度ランキング上位3位内の常連であり、ここ10年で1位に4回もなっているデンマーク。ホフステードの6次元モデルで見ると、女性性が高く、個人主義という特徴があります。
幸福感を感じるデンマークの文化を紐解いていきたいと思います。
デンマークの大切な友人家族の双子たちが、大切な行事、コンフィアマション(Konfirmation)を迎えました。
光栄なことに招待いただき、参列してきました!
当日の様子を含めて、デンマークの文化の一つとしてご紹介したいと思います。
コンフィマションについては、前記事をご参照ください。
教会でのコンフィアマション(堅信礼)
双子の1人、ディトレウは教会での堅信を選択したので、クラスのみんなと堅信礼を受けました(デンマークでは教会での堅信礼からパーティまでが一つのコンフィアマションとして捉えられますが、ここでは便宜的に教会での儀式を堅信礼と記載します)。
一般的には、教会での堅信礼の後にパーティを行ないます。彼の場合はクラスの変更などがあり、パーティの翌日に堅信礼となりました。
堅信礼
クラス合同の堅信礼のため、参列者は堅信礼を受ける子供1人に対して10名のみ。光栄にもその参列者に入れていただきました。中央の通路沿いに堅信礼を受ける子の席が並び、その横に親・親戚が並びます。
神父さまと一緒に堅信礼を受ける子たちが列を作って入場し、式が始まりました。男の子はジャケットまたはスーツ、女の子は白いドレスまたはスーツを着ています。
讃美歌を歌って、神父様のお話を聞いて。
列になって前に出て祭壇を囲み、一人一人が名前を呼ばれて堅信を宣言し、神父さまから聖霊の恵みを受けていました。
教会を出ると
式が終わると堅信礼を受けた子たちは集合写真を撮り、その後に解散。教会を出てみると、そこにはクラシックカーやオープンカーの行列が!
これは伝統なのだそうですが、教会から祝福されて旅立つための車が用意されています。親はオープンカーやクラシックカーを用意して、旅立ちを演出するのです。この後パーティーに向かう子が多いので、その演出もあるかもしれません。
ディトレウには、両親が趣向をこらし、デンマーク伝統のクリスチャニアバイク(前に子供や荷物を載せられるようにした三輪自転車)を用意しました。教会は徒歩の距離だということもありますが、自分たちらしい現代的なスタイルにしたいというサプライズ!お祝いを示すデンマーク国旗がたくさんつけてあり、お父さんが運転して、特別な道のりを演出しました。
家族でのブランチ
ブランチの間には、従弟のオスカーが、2人を祝って素敵なスピーチをしました。オスカーは前日のパーティでもスピーチをしたがっていたのですが、時間がなくてこの場になりました。
ここにも、デンマークの文化が垣間見られます。たった10歳の子が、従兄姉のためにみんなの前でスピーチをするのです。一個人として意見を述べる機会は平等に与えられ、そのことを誰も止めたり否定したりせず、見守るのです(もちろんお母さんは横でハラハラした顔をしています笑)。
日本では、まだ子供なんだから、とかの理由で止められてしまったり、親が後からコメントしそうですが、一個人としての意見を見守るところに、デンマークの個人主義と女性性による博愛を感じます。
初めての意思決定
コンフィアマションは自分の道を決められるというお祝いですが、「自分で決める」ことを象徴することが2つありました。
お金の使いみち
コンフィアマションでは、パーティに参加する人もそうでない人からもたくさんのお祝いのカードやプレゼントが贈られます。
自分が欲しいものをリストにして予算に合わせて買ってもらうウィッシュリストの共有もあるのですが、カードやプレゼントに加えて現金を贈ることが多いのだそう。プレゼントではなく現金でください、という意思表明も可能。1人がカードに入れて贈る金額は100〜200クローネ(2023年5月現在 約2,000〜4,000円)程度ですが、全部集まれば金額はかなり大きくなります。
プレゼントに何を欲しいとリクエストするか、そしていただいたお祝い金の使いみちを考えるのが、まず第一の意思決定。コンフィアマションのお祝いは通常のお小遣いのような金額とは桁の違う金額になりますから、これまで考えたことのないものを買うなど、考えることができるようになりますね。
友人が翌週に参加するコンフィアマションでは、スクーターを買う資金にしたいので全て現金でください!というリクエストだそう。私の友人のところでは、今は決められないし、普通預金に入れたら使っちゃうから、定期預金に入れて欲しいと親にリクエストしていました。
「青い月曜日」(Blå Mandag)
コンフィアマションが行われた翌週の月曜日は「青い月曜日」と呼ばれ、学校が休みになります(クラスで同時にコンフィアマションを受けているので、クラスごとに休み)。
その過ごし方を、自分たちで決めます。代表的にはみんなで遊園地に行く、ボウリングに行く、買い物に行く、などがあるようです。何をしたいかということをみんなで投票して決めます。
そしてお祝い金を使うことも自由です。何にいくら使うか、自分で考えて決めるのです。
もちろん、まだ7年生。会場の予約や送迎などは親が手配するわけですが、自分たちで意思決定することを練習していく、というプロセスが確実にあります。
自分でよく考えて決めるんだよ、というメッセージが繰り返し伝えられていました。
一方、メアレは違う学校で8年生と一緒のクラス。「青い月曜日」のお休みがありませんでした。日曜日は14歳の誕生日でもあったので、シナモンロールを焼いてティネと一緒にサプライズ!ミニ成人式のお祝いは翌週にも続いているのでした。
祖父江 玲奈
ファシリテーター
中央大学総合政策学部卒業。アクセンチュアにて、組織戦略、組織設計、人材開発戦略を中心とするコンサルティング業務に従事。多くのインターナショナルプロジェクトに参画する。その後、日産自動車株式会社にて、女性のお客様をターゲットとした商品開発を担当。グローバル共通/地域固有でのお客様調査、また男女差の科学的分析に基づいて多くの提案を行い、商品を実現した。商品開発でのアイディア創出プロセスにおいて、論理的・俯瞰的視点による多面的分析力、また画像/ビジュアルイメージやプロトタイプを通じた複合的な情報収集(キュレーション)のプロセスが、新しい商品像を生み出すために非常に重要であることを発見。イノベーションを生み出すアイディア創出方法を構築中。
青山学院大学ワークショップデザイナー講座 修了。デンマークデザインスクール KaosPilot Creative Leadership course 修了。シータヒーリング認定インストラクター/プラクティショナー