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デンマークの文化に見る幸福感 vol.17 – 季節の幸せ – 夏のヒュッゲ

2023.07.12 祖父江 玲奈
季節の幸せー夏のヒュッゲ

デンマークの文化に見る幸福感
vol.17
季節の幸せ – 夏のヒュッゲ

世界幸福度ランキング上位3位内の常連であり、ここ10年で1位に4回もなっているデンマーク。ホフステードの6次元モデルで見ると、女性性が高く、個人主義という特徴があります。

幸福感を感じるデンマークの文化を紐解いていきたいと思います。


今回は夏のヒュッゲを見ていきたいと思います。

北欧デンマークのヒュッゲでイメージされるのは、キャンドルの灯り、暖かい暖炉のそばで、温かいコーヒー。
北欧は冬が長いから、冬ならではの楽しみ方がたくさんあって、冬を楽しく過ごす気持ちがあるんだろうな、と(勝手に)思っていました。
そこで、デンマークの友人に聞いてみました。

私:「冬の楽しみは何?」
デンマークの友人:「僕の楽しみは夏だよ!笑」。

北欧の冬は長いはず・・・夏は短いのに、なんで夏なんだろう、あとの期間は楽しくないのかしら?と思っていました。

そう、そのときはまだ知らなかった、というか、わかってなかった 笑

より深く知ると、デンマークではびっくりするくらい、夏と冬が違うのです。そのコントラストがあるからこそ、夏には夏のヒュッゲ(sommerhygge)があるんです!

北欧の夏ーとにかく明るい!

お日様の光があふれる夏は、デンマークの美しい季節です。カラフルな建物、広い青空、木々の緑があふれ、散歩をしているだけで芳しい花の香りに出会い、そして美味しいベリーが森や公園にもたくさんなっています。

デンマークに6月に初めて渡航したとき、私がびっくりしたのは、日の長さでした。Airbnbで泊まったのですが、ブラインドを下ろさないと、日によっては寝られないくらい明るいからね、と言われ、「そうか、北欧の夏至!」と妙に納得しました。
ノルウェー、スウェーデンの北部であれば白夜もあると思いますが、デンマークは北欧では南に位置するので白夜ということはありません。ですが、日の出は4時半、日の入りは夜10時。つまり、夜中3時過ぎから夜の11時まで明るい(ほとんど暗くない)ので、本当に1日が長いのです。

夜10時のレストランは夕暮れどきの風景
夜10時のレストランは夕暮れどきの風景

自然の中で過ごす気持ち良さ

そんな陽の光があふれる季節は、それを満喫するのがデンマークスタイル。デンマークの夏の過ごし方は、積極的に外で過ごします。

まず、食事を屋外で食べよう!という機会が増えます。家族でバルコニーで食べたり、ご近所さんと中庭やマンションの前の通りに机と椅子を出して、一緒に食事を楽しんだり。庭で子供が遊んでいれば、庭のベンチにドリンクを持っていって、イチゴを摘んでおやつにしたりします。

テラスでのランチ
テラスでのランチ

食べ物としては新鮮な野菜やフルーツ、シーフードが多く登場します。たくさんのハーブや種類豊富なベリーがたっぷりと使われたサラダや料理がテーブルを彩ります。

夕食後もまだまだ明るいので、いろいろなイベントなども開催されます。

夜9時半ごろ、公園でのイベント
夜9時半ごろ、公園でのイベント

冒頭の画像は、コペンハーゲンの公園で開催されていたダンスイベントでした。夕食後に公園を散歩していたら、どこからか楽しげな音楽が聞こえます。耳を頼りに公園を回ってみたら、盛大にみんな集まって、踊ったりおしゃべりしたりしていました。
友人によると夏は何日間もダンスイベントを開催していて、日によってダンスの種類が変わり、早めの時間にダンスのレッスンがあるとのこと。新しいダンスにチャレンジしてみたり、ふらっと立ち寄って踊ったり。大人も楽しみ、子供もアクティブに過ごしています。

また、この日は同じ公園でランニングの競技会も行われていて、ゼッケンをつけた人たちが真剣に走っていました。仕事を終わった人も参加できる夜の時間で(撮影した時間は夜9時ごろ)、男性も女性もいろんな年代の人が走っていました。

夜9時でもこの明るさ!
夜9時でもこの明るさ!

活動的な楽しさ

デンマークの夏のヒュッゲは、非常に活動的で、社交的です。
知人曰く、読みたい本があったり勉強したいことがあっても、お天気が良かったら、お日様の下に出かけて行って、みんなと過ごしたくなる。公園に散歩に行って、ベリーをつまみながらおしゃべりしたくなる。自然をたっぷりと味わって人と楽しむ、そんな季節なのだといいます。

日々の計画や習慣が変わって見えるほど解放的な夏のヒュッゲ。
でもそれは、冬にはまたゆっくりと静かに室内で過ごす時間がやって来ると知っているからこそ、真逆に思えるほど活動的に、夏の日差しを楽しむ姿勢も鮮明です。夏が短く、暑い夏になるとは限らないデンマークだからこそ、より一層楽しみにしている時間でもあるのです。

デンマークの夏の過ごし方は、自然の変化に正直なところから生まれていると思います。生物として、陽が長く、暖かく気持ちの良い季節になれば、活動的になりますよね。果物がたくさん取れれば、それを積極的に味わう。自然を楽しもうとする様子が感じられます。

豊かな自然を、気持ちよく楽しむこと。
その楽しさを分かち合うこと。

季節や環境を楽しむという姿勢で、どんなことをしようかな、と意識を向けていく。それがデンマークの幸せのコツの一つかな、と思います。


祖父江 玲奈

ファシリテーター

中央大学総合政策学部卒業。アクセンチュアにて、組織戦略、組織設計、人材開発戦略を中心とするコンサルティング業務に従事。多くのインターナショナルプロジェクトに参画する。その後、日産自動車株式会社にて、女性のお客様をターゲットとした商品開発を担当。グローバル共通/地域固有でのお客様調査、また男女差の科学的分析に基づいて多くの提案を行い、商品を実現した。商品開発でのアイディア創出プロセスにおいて、論理的・俯瞰的視点による多面的分析力、また画像/ビジュアルイメージやプロトタイプを通じた複合的な情報収集(キュレーション)のプロセスが、新しい商品像を生み出すために非常に重要であることを発見。イノベーションを生み出すアイディア創出方法を構築中。
青山学院大学ワークショップデザイナー講座 修了。デンマークデザインスクール KaosPilot Creative Leadership course 修了。シータヒーリング認定インストラクター/プラクティショナー

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