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デンマークの文化に見る幸福感 vol.4 – 幸せな国デンマーク ヒュッゲとサードプレイス

2022.11.15 祖父江 玲奈
幸せな国デンマーク ヒュッゲとサードプレイス

デンマークの文化に見る幸福感
vol.4
幸せな国デンマーク ヒュッゲとサードプレイス

世界幸福度ランキング上位3位内の常連であり、ここ10年で1位に4回もなっているデンマーク。ホフステードの6次元モデルで見ると、女性性が高く、個人主義という特徴があります。

幸福感を感じるデンマークの文化を紐解いていきたいと思います。


デンマークの幸福感を支える価値観 ヒュッゲ は、人と人とのつながりから生まれる居心地の良さです。人のつながりは、デンマークではどのような意味があり、そしてどのように作られているのか。そのつながりから生まれるヒュッゲの幸せな気持ちを、どのように大切にしているのか。

デンマークにはヒュッゲを大切にしている理由として、一段深い考え方があるのです。

コミュニティの存在

デンマークでは、仕事と家だけではなく、なんらかのクラブやコミュニティに所属することが大切だと考えられています。

コミュニティはさまざまなものがあり、地域貢献というような堅苦しいものではなく、スポーツなど趣味の集まり、政党の勉強会もコミュニティの一つですね。
私の友人は、地域のオーガニック農家から野菜などの食品を定期的に共同購入するグループをボランティアで運営しています。

北ユラン半島オーガニック野菜の販売所
北ユラン半島オーガニック野菜の販売所。昨夏に地元のアーティストが野菜のイメージをペイントしました

なぜコミュニティに所属することがが重視されているか。

”人間は社会的な存在である” という考え方。
デンマークでは、人間は社会的な存在として、他の人との関わり方を学び、
関わる場を持つのが社会における役割である、と考えられているのです。

例えばバドミントンのクラブに所属することは、もちろんスポーツを楽しむ仲間と場が第一になります。ですがそれだけでなく、違う年代や経験の人たちと話をしたり、クラブを運営するための意見交換、役割、意思決定の必要性なども生まれます。
友人の所属するスポーツのコミュニティでは、年に1回開催される総会に、小学生のメンバーでも参加してもらうとのこと。意見を述べることや運営方針に対する投票は、自分が所属するコミュニティがどのように運営され、そして自分はどのように関わるべきなのかを考える場になるのだそうです。

人とつながる場、社会への関わり方を持つことは、とても人間的なこと。

家と仕事以外の場所があること、社会に繋がっていることを、デンマークでは大切にされています。

社会につながり、役割を持つこと

前記事で文化考察をした中にも、社会につながることを大切にする価値観が読み取れます。

デンマークは男性性・女性性の次元で女性性が強い文化です。
女性性が強い文化では、人は平等に幸せになる権利があり、それと同時に社会的な役割を担うことが大切とされています。

共通の活動や興味を持つことは、社会的な存在である人間としての役割を果たすこと。
そして、心を通わせて関係性ができること、お互いのことを大切にすることで、自分が受け入れられている、存在する意義を感じられるということだと思います。このような考えから、デンマークでは市民活動はとても活発で、ソーシャル・イノベーションもとても重視されているのです。

サードプレイスから人・社会とのつながりへ

似た概念の一つに、サードプレイスがあります。アメリカのレイ・オルデンバーグ提唱の概念で、日本では働き方改革を受けて注目されました。

人には2つのメインとなる居場所、家と仕事場や学校がありますが、その2つと異なる第3の居場所で、リフレッシュしたり息抜きをしたりできる場所が重要だ、という考え方です。

第1の居場所=家、生活を営む場所
第2の居場所=仕事や学校など自宅以外で長時間過ごす場所
第3の居場所=義務や必要性から離れ、自らの気持ちで向かう場所

サードプレイスは、カフェやパブなどのオープンな場に生まれる地域のコミュニティだったり、共通の趣味で集まるコミュニティだったりします。家と仕事という役割を離れた、自分個人としての居場所。職場と自宅を往復するだけではない場所や人間関係を指しています。
サードプレイスは、家族の責任や仕事の役割から離れて、自分らしさを体現する場所です。それにより、ストレスを軽減して人の生活に潤いを与えると言われています。

サードプレイスの効果は、デンマークのヒュッゲと同じものも多くあります。仕事や家庭の責務から解放される時間があり、人と話すことでリフレッシュできる、などの効果があるかと思います。
一方、ヒュッゲとサードプレイスの一番の違いは、サードプレイスはオープンな場で、誰もが気軽に立ち寄れる存在とされているのに対し、コミュニティなど別の活動という”関係性”に参加しているところが違うかと思います。

私がデンマークに長期滞在してみたい!という計画を話したとき、友人たちが真っ先に勧めたのが、まずコミュニティに所属することでした。
趣味でもよいし、地域の活動でもよい。コミュニティに所属してネットワークを持つことが、あなたがその社会にいるということよ、と言われました。

あなたは今どんなコミュニティに所属していますか?
どんな社会との役割を持っていますか?

コミュニティを考えることも、人との関係性を大切にする、ヒュッゲを感じるヒントかなと思います。


祖父江 玲奈

ファシリテーター

中央大学総合政策学部卒業。アクセンチュアにて、組織戦略、組織設計、人材開発戦略を中心とするコンサルティング業務に従事。多くのインターナショナルプロジェクトに参画する。その後、日産自動車株式会社にて、女性のお客様をターゲットとした商品開発を担当。グローバル共通/地域固有でのお客様調査、また男女差の科学的分析に基づいて多くの提案を行い、商品を実現した。商品開発でのアイディア創出プロセスにおいて、論理的・俯瞰的視点による多面的分析力、また画像/ビジュアルイメージやプロトタイプを通じた複合的な情報収集(キュレーション)のプロセスが、新しい商品像を生み出すために非常に重要であることを発見。イノベーションを生み出すアイディア創出方法を構築中。
青山学院大学ワークショップデザイナー講座 修了。デンマークデザインスクール KaosPilot Creative Leadership course 修了。シータヒーリング認定インストラクター/プラクティショナー

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