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デンマークの文化に見る幸福感 vol.6 – 北欧デンマーク 季節の幸せ ― 冬のヒュッゲ
デンマークの文化に見る幸福感
vol.6北欧デンマーク 季節の幸せ
― 冬のヒュッゲ
世界幸福度ランキング上位3位内の常連であり、ここ10年で1位に4回もなっているデンマーク。ホフステードの6次元モデルで見ると、女性性が高く、個人主義という特徴があります。
幸福感を感じるデンマークの文化を紐解いていきたいと思います。
今回は季節のヒュッゲを考えていきたいと思います。
冬のヒュッゲは、キャンドルの灯りに代表される、暖かく明るい家の中で、心地よく過ごす時間が中心です。なぜそんな過ごし方が心地よく、幸福感を感じられるのか。その背景を紐解いていきたいと思います。
デンマークの冬:長く続く、暗い季節
デンマークの冬は、北欧らしい長い冬です。ノルウェーやスウェーデンに比べるとデンマークは南に位置するためか、雨が多く、雪はそんなに降りません。
冬の陽の短さには、かなりビックリすると思います(夏の日の長さと同じ、いやそれ以上に驚きます)。日の出は9時前、日の入りは3時40分くらい。
つまり、朝は8時半ごろまで真っ暗、午後3時半にはかなりの夕闇です。
これは12月10日にデンマークの友人宅で朝食をとっている時の写真です。
朝7時半過ぎ。外は真っ暗。
ちなみにデンマークの一般的な始業時間は8時です。
デンマーク人もよく言いますが、暗闇の中で出勤、仕事の帰りも真っ暗です。ビルの中で仕事をしていれば、お日様に出会える時間は、何ヶ月もの間、ゼロになってしまいます。
そんな暗くて寒い季節。冬の間は、「明るく暖かい」ことが幸せになります。
必然的に、屋内で長く過ごすため、落ち着いた楽しみが多くなります。
例えば、家族で楽しむゲーム。デンマークでは図書館やコミュニティセンターでもボードゲームを貸出しており、みんなで遊ぶ様子がよく見かけられます。
友人はクリスマスに、大きなジグソーパズルを購入していました。家族みんなで何週間もかけてじっくりと楽しむのだそうです。
長く暗い冬は、ゆったりと家族みんなで楽しむ季節なのです。
冬の楽しみ:焼き菓子や温かいオーブン料理
寒い冬の季節には、自然と食べ物も大きく変わります。メニューとしては、夏は野菜や魚が多いのに対し、冬は肉料理が多くなります。バターやクリームを使った料理が多くなります。
冬の定番料理はローストポーク(またはローストダック、ローストハム)。
付け合わせの定番は、グリーンケールの生クリーム煮込み(シナモンシュガーをお好みでかけて)、ブラウンポテト(茹でたジャガイモを砂糖とバターで煮たもの)です。
こちらはハムに左上がケール煮込み、右側がブラウンポテトです。
友人は、養豚をしている知人から自家製サラミを分けてもらったり、羊を1頭買いして肉を冷凍したりと肉を買うことが増えると言います。
また、デンマークではクリスマスが大きなイベントでもあり、クッキー、ケーキなどの焼き菓子が増えてきます。
クリスマスのヒュッゲでもご紹介しましたが、クリスマスにはクッキーを何種類も焼くのが定番。もちろんお店でも買いますが、家でもクッキーを何種類も焼くのです。
小さいクッキーが多く、切ったり丸めたり、家族みんなで楽しみます。
オーブンから漂う、スパイスとバターの甘い香り。
この楽しみは、本当に冬のものだなと思います。
冬のヒュッゲ:ゆったりとした楽しさ
すっかりインドア型になる冬の季節。
冬のヒュッゲは、静かで落ち着いている時間。
そして、読書やゆったりとした一人の時間など、内省的な時間でもあります。
知人が言っていました。
夏は活動的に外で人と過ごすと、どうしても自分にインプットしていくことが難しい。本を読んだり考えたり、インプットは人生にも仕事にもとても大切。でも、インプットは1人の時間が必要になる。だから1年の中にバランスがあって、冬の時期にはインプットを増やしたいな、と夏にも思うのだ、と。
「夏はパーティのようなもの。1年365日パーティを続けたら、疲れるし頭がおかしくなっちゃう。それに夏は短いと知っている、だからこそ、精一杯楽しもうと思う。」
「冬は静かな時間で、家族とたっぷり一緒にいて、家の中で遊んだり、読書したり、滋養を蓄える時期なんだ」
暖かく快適に、家族や友人と家でゆったりと楽しむ季節。
春から夏に成長するために、滋養を蓄える、冬の季節。
冬のゆったりとした楽しさ、味わっていきたいと思います。
祖父江 玲奈
ファシリテーター
中央大学総合政策学部卒業。アクセンチュアにて、組織戦略、組織設計、人材開発戦略を中心とするコンサルティング業務に従事。多くのインターナショナルプロジェクトに参画する。その後、日産自動車株式会社にて、女性のお客様をターゲットとした商品開発を担当。グローバル共通/地域固有でのお客様調査、また男女差の科学的分析に基づいて多くの提案を行い、商品を実現した。商品開発でのアイディア創出プロセスにおいて、論理的・俯瞰的視点による多面的分析力、また画像/ビジュアルイメージやプロトタイプを通じた複合的な情報収集(キュレーション)のプロセスが、新しい商品像を生み出すために非常に重要であることを発見。イノベーションを生み出すアイディア創出方法を構築中。
青山学院大学ワークショップデザイナー講座 修了。デンマークデザインスクール KaosPilot Creative Leadership course 修了。シータヒーリング認定インストラクター/プラクティショナー