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デンマークの文化に見る幸福感 vol.8 – ヒュッゲを作る料理時間
デンマークの文化に見る幸福感
vol.8ヒュッゲを作る料理時間
世界幸福度ランキング上位3位内の常連であり、ここ10年で1位に4回もなっているデンマーク。ホフステードの6次元モデルで見ると、女性性が高く、個人主義という特徴があります。
幸福感を感じるデンマークの文化を紐解いていきたいと思います。
今年の冬は寒いですね。雪が降るかも、と天気予報を見ると、おうちで過ごす時間が増えてきます。こんなとき、いかにおうち時間を楽しく充実させていくか。
参考になるのは、デンマークのヒュッゲなのではと思うのです。
なぜなら、冬は暗い時間が多く家で過ごす時間が長いから。家をいかに快適にして、どんなことをして過ごそうか。
おうち時間を充実させることは、デンマーク(≒北欧)は得意分野です。
そしてその一つが、料理だと思います。
楽しむために料理する
私が印象的に覚えているシーンがあります。
初めてデンマークの友人ティネ(Tine)の家に泊めてもらい、ワークショップに出ていた時のこと。ワークショップが終わり、夕食後に友人とお茶を飲みながら、ワークショップを振り返って話していました。
私たちはダイニングテーブルでお茶を飲みながら、おしゃべりに夢中だったのですが、ふと見るとキッチンでは旦那さまのブリアン(Brian)が何かしていました。もう後片付けは終わったはず。
「彼は何をしているの?」
「ああ、明日の朝食用にパンを仕込んでいるのよ」
とっても驚きました。
パンは買うだけじゃなくて、作って楽しむことも日常にできること。私たち(女性2人)は話し込んでいて、その横で男性が朝食の準備をしていること。夕食後の時間、疲れてバタンと休むのではなく、パンを仕込むことも楽しんでいること。
(ちなみに彼らの家から歩いてすぐスーパーがあるので、朝イチでパンを買いにいくこともできます)
パンを前日に仕込んでおこうーそれは生活の一部であり、じゃあ作ろうかなと夜の時間に楽しむことでもあるのです。
幸せな生活を自分で作る
デンマークでは、人の家によく集まります。料理を作るから何時に集まって、と連絡があり、手土産にワインなどを持って訪れる、という形が多いようです。かしこまったレストランよりカジュアルな方を好むデンマークの価値観をよく表していると思います。(日本と違って、レストランでの食事は家での料理よりとても高い、ということもあると思います)
料理に対する関心も高いし、みんな作るんだな・・・となんとなく思っていましたが、そのことを実感したのが、ライ麦パンの話をしたときです。
デンマークのライ麦パンを焼くのが大好きなの!と話すと、自分のレシピをシェアすると言ってくれる方がたくさんいました。サワードウで焼くライ麦パンは手間がかかり難易度が高いので焼く人は多数派ではありません。それでもライ麦パンのレシピをくれた人は何人もいます。
そして面白いことに、パンを焼くのは男性が好きなことが多く、ご夫婦の間でメインに男性が担当しているお家もいくつもありました!
前記事で異文化分析をした際に、デンマークは女性性文化、つまり生活の質を大切にする文化だということをご紹介しました。
みんな一人一人が自分で自分を幸せにする権利があり、幸せな生活を送ることを大切にしています。その価値観の中で、幸せな生活の一つとして、料理をすること、みんなでそれを手伝ったり、楽しんだりすることも大切にされているのだなと思います。
料理という動的瞑想
生活の中でも、料理はなぜ、幸福度にとって大切なのか?を次に見ていきたいと思います。
昨今、マインドフルネスが注目されています。グーグルが取り入れたことで有名になりましたが、マインドフルネスは瞑想を通じて、今現在の体験に対して評価することなく意識を向けることで、ストレスを軽減したり集中力を高めるという効果があると言われています。
瞑想というと日本では座禅などが思い起こされると思いますが、静的瞑想の座禅に対して、動的瞑想というものがあります。
動的瞑想のイメージとしては、お坊さんが庭を箒で掃き掃除するなど、繰り返しの動作や一定の動作に集中することで、精神的にはリラックスしながら集中している≒マインドフルな状態にできるというものです。
そして料理することは、一種の動的瞑想にあたると言われています。
料理は五感をよく使います。材料をよく見て指の感覚に集中し、味覚や嗅覚、聴覚もよく使われます。料理に集中することによって、精神的なリラックス効果や集中力が高まる効果があるとしたら。それは魅力的ですよね。
しかも料理に集中すると、美味しさと楽しい食事がもれなくついてきます!
祖父江 玲奈
ファシリテーター
中央大学総合政策学部卒業。アクセンチュアにて、組織戦略、組織設計、人材開発戦略を中心とするコンサルティング業務に従事。多くのインターナショナルプロジェクトに参画する。その後、日産自動車株式会社にて、女性のお客様をターゲットとした商品開発を担当。グローバル共通/地域固有でのお客様調査、また男女差の科学的分析に基づいて多くの提案を行い、商品を実現した。商品開発でのアイディア創出プロセスにおいて、論理的・俯瞰的視点による多面的分析力、また画像/ビジュアルイメージやプロトタイプを通じた複合的な情報収集(キュレーション)のプロセスが、新しい商品像を生み出すために非常に重要であることを発見。イノベーションを生み出すアイディア創出方法を構築中。
青山学院大学ワークショップデザイナー講座 修了。デンマークデザインスクール KaosPilot Creative Leadership course 修了。シータヒーリング認定インストラクター/プラクティショナー