The Culture Factor

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組織文化の見える化〜ホフステード・モデル

2016.06.20 宮森 千嘉子

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こんにちは。宮森です。

組織文化は、組織の戦略やビジョンを達成する推進役にもなれば、組織の成功を阻害する要因にもなります。かつてピーター・ドラッカーは、「文化は戦略を朝食に食べる」と言ったことがあります。どんなに目的のはっきりした優れた文化であっても、それが上からただ押し付けられたものだったり、組織の持つ文化と整合していなければ、戦略の実践は失敗に終わるということを、ドラッカーは言いたかったのだと思います。

「文化と戦略の父」として名高いマーストリヒト名誉教授のヘールト・ホフステードは、文化とは「ある集団を別の集団と区別する心の集団プログラミング」と定義し、「世の中にいい文化も悪い文化もない。ただ違うだけ」と述べています。組織文化についても、「いい悪いはない、戦略・ゴール・ビジョン実践を支える環境が整っているのかどうか」がホフステードの視点です。そして、同じ企業の中でも、財務部と広告宣伝部では達成すべきゴールが異なるように、組織の文化もそれぞれ、ユニークであるべきなのです。

では、組織文化とは一体何なのでしょうか?ホフステードの組織文化の定義は、「組織における構成員がお互いと、仕事や組織外部とどのように関わるかを、他の組織と相対的に表すもの」と定義している。ホフステード「関わり」「関係」という言葉を非常に重要視しています。その関わりと何を示すかを、具体的に見ていきましょう。

1.お互いにどう関わるか (職場の人間関係)

  • 上司とどう関わるか
  • 上司は自分にどう関わるか
  • 周囲の同僚はどう関わり合っているか
  • グループ同士はどのように協力し合うか

2.仕事に対してどう向き合うか

  • どのように仕事をこなすか期待されているか
  • 与えられた資源を効率的にきめ細かく活用するか、それとも今まで誰も思いついたことのない解決策を提示するよう期待されているか
  • 仕事の中味は仕事の仕方にどう影響するか
  • どのような条件で仕事をしているか
  • 職場の安全を脅かす要因を事前に予測してコントールできるか
  • 職場の安全を脅かす要因は弾力的な対応や勇気や互いの忠誠心で減少できるか

3.外部とどのように関わるか

  • ステークホルダーとどのように関わるか
  • 顧客の要望に何としても応えるか、顧客にとって最善と思う方法を提示するか
  • 外部の世界を自組織にとって脅威に感じるか、外部環境に新たな変化が起こればそれを受け容れるか
  • 新参者にどう関わるか

これらを見るだけでも、組織に課せられた役割や、果たすべきゴールによって、その環境は様々であることがお分かりいただけると思います。ホフステードの組織文化モデルの特徴は2つあります。

ひとつは、定性的定量的、科学的に実証され、過去20年間、組織変革の現場で実践されてきたこと。
ふたつ目は、組織を文化を必ず、ビジョンやゴールと結びつけている点です。現在の「組織文化」(組織の「今の環境」と言い換えてもいいでしょう)を明らかにするとともに、戦略やゴールを達成する環境はどんなものかを経営陣やマネジメントに深く考えてもらいます。

そして「現在」と「あるべき姿」のギャップを提示し、それを埋めるプロセスに取り組むことで変革を実現するモデルです。
どの組織変革も必ず、「現在」と「あるべき姿」を見立てますが、通常それはインタビューなど定性調査によるもので、そこには必ず、問いかける人と答える人の意思が反映されます。ホフステードのモデルは、出来る限り客観的な結果を出すために、現在の文化を測るためにはオンラインの定量調査を行い、戦略やゴールを達成する「あるべき姿」にはファシリテーション、インタビューを用います。具体的には、次の8つの切り口から、組織のあり方を診断します。

具体的には、下記の切り口で組織の文化を診断します。

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ピーターズとウォーターマンによる共著『エクセレント・カンパニー』が出版されたのは1982年、史上最も読まれたビジネス書のひとつですが、この頃からエクセレントであるためには「ひとつの強い」企業文化を確立するだけでいいという考えが広まりました。多くの企業がコンサルタントとともに「強い企業文化」づくりに取り組みましが、その結果は気の滅入るようなものでした。「エクセレント・カンパニー」として紹介した企業の大半が、出版から間もなく経営困難に陥りました。その結果、組織文化は「大事なのはわかっているけれども、どうしていいかわからないもの」という扱いを受け、耳障りが良く、見た目にも格好いいコア・バリューやタグラインなどと同じように考えられていることも多いのではないでしょうか?

ホフステード博士が生み出し、彼のパートナーとしてこのモデルを20年にわたって実践してきたボブ・ウェイスフィシュによって磨き上げられた組織文化診断モデルは、会社や組織の隠れた弱みや強みを明らかにし、これらに何も働きかけなかったら何が起こり得るか、また特定のアクションを行ったらどうなるかを予測することのできる分析ツールです。組織の真実を知り、それを変革したいと願うリーダーであれば、「私達の組織文化は今どうなっていて、成功するためにはどうあらねばならないのか」という思いを持っているはずです。ホフステードの組織文化診断モデルはその答えを、ご用意することができます。

この組織文化診断にご関心を持っていただいた方のために、7月に開催されるバランスト・グロースの法人セミナーをご案内させて頂きます。

・「組織文化を測定すると何が見えてくるのか〜ホフステード式組織文化診断モデルの特徴」7月6日(水)14:00-17:00


宮森 千嘉子

ファウンダー

サントリー広報部勤務後、HP、GEの日本法人で社内外に対するコミュニケーションとパブリック・アフェアーズを統括し、組織文化の持つビジネスへのインパクトを熟知する。また50 カ国を超える国籍のメンバーとプロジェクトを推進する中で、多様性のあるチームの持つポテンシャルと難しさを痛感。「組織と文化」を生涯のテーマとし、企業、教育機関の支援に取り組んでいる。英国、スペインを経て、現在米国イリノイ州シカゴ市在住。異文化適応力診断(IRC) , CQ(Cultural Intelligence) , GCI (Global Competencies Inventory), 及びImmunity to Change (ITC) 認定ファシリテータ、MPF社認定グローバル教育教材<文化の世界地図>(TM)インストラクター、地球村認定講師、デール・カーネギートレーナーコース終了。共著に「個を活かすダイバーシティ戦略」(ファーストプレス)がある。青山学院大学文学部フランス文学科、英国 アシュリッシビジネススクール(MBA)卒。

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