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異文化理解のフレームワーク
「ホフステードの6次元モデル」
Vol.6
幸福感が決める社会のあり方 : 人生の楽しみ方
文化の次元とは、他の文化と比較したときに相対的にとらえることができるもの。
ホフステードは、ある国で生まれ育った人々の物事の選好が、国ごとにどう異なるかを6つの次元(切り口)に体系化し、目で見ることのできない文化的価値観の違いを説明します。
ミンコフ博士によって2013年版『多文化世界[原書第3版]』から追加された、「主観的幸福感」:(1)人々の幸福感、(2)人生のコントロール、(3)余暇の重要性、の3点を国民文化の側面から解明しようとする、新しい次元です。
人生の楽しみ方:抑制的
この次元は、一言で言えば、ネガティブな社会か、ポジティブな社会か、を示しています。
抑制的な社会は、厳しい社会規範によって欲求の充足を抑え、制限すべきだという考え方を持っています。
人生の楽しみ方:抑制的な国の特徴
- 幸せであるとか、健康であると感じることが少ない、社会肯定的な情動を思い出しにくい、悲観主義的な社会
- 無力感を感じている:自分に起こることは自分ではどうしようもできない
- 言論の自由は一般の関心事ではない
- きつい、抑制の強い社会
- 職場では、謹直で厳格な態度が信用され、プロフェッショナルであると受け取られる。
- 微笑みは疑惑の目で見られる
- 余暇はあまり重要ではない
人生の楽しみ方:抑制的な国
エジプト、パキスタン、旧ソビエト連邦諸国、ロシア、東欧、イラク、モロッコ、バングラデシュ、中国、インド
人生の楽しみ方:充足的
充足的な社会は、人生を味わい楽しむことに関わる人間の基本的かつ自然な欲求を比較的自由に満たそうとする社会です。
人生の楽しみ方:充足的な国の特徴
- 幸せであるとか、健康であると感じる人の割合が多い社会
- 肯定的な情動を思い出しやすい、楽観主義的な社会
- 人生はコントロールすることができると感じている
- 言論の自由は比較的重視されている
- ゆるい社会
- 職場では、ポジティブシンキングが奨励される
- 微笑みかけることが規範
- 余暇は重要
人生の楽しみ方:充足的な国
ベネズエラ、メキシコ、プエルトリコ、エルサルバドル、コロンビア、スウェーデン、ニュージーランド、オーストラリア、デンマーク、英国、カナダ、米国 ナイジェリア、ガーナ、南アフリカ
宮森 千嘉子
ファウンダー
サントリー広報部勤務後、HP、GEの日本法人で社内外に対するコミュニケーションとパブリック・アフェアーズを統括し、組織文化の持つビジネスへのインパクトを熟知する。また50 カ国を超える国籍のメンバーとプロジェクトを推進する中で、多様性のあるチームの持つポテンシャルと難しさを痛感。「組織と文化」を生涯のテーマとし、企業、教育機関の支援に取り組んでいる。英国、スペインを経て、現在米国イリノイ州シカゴ市在住。異文化適応力診断(IRC) , CQ(Cultural Intelligence) , GCI (Global Competencies Inventory), 及びImmunity to Change (ITC) 認定ファシリテータ、MPF社認定グローバル教育教材<文化の世界地図>(TM)インストラクター、地球村認定講師、デール・カーネギートレーナーコース終了。共著に「個を活かすダイバーシティ戦略」(ファーストプレス)がある。青山学院大学文学部フランス文学科、英国 アシュリッシビジネススクール(MBA)卒。